世界最高の劇作家として現代でも名が知られるシェイクスピア。彼の作品の中でも“4大悲劇”や“5大悲劇”と呼ばれているものは結構知ってる人も多いのでは?
『ロミオとジュリエット』なんかは学生時代に国語かなんかで見た気もしますし、舞台公演なんかも見かけたりします。
そんな代表的な作品の一つでもあるのが今作の『ハムレット』。
ハムレットというのは作中に出てくる王子の名前だそうですが、この作品を書くきっかけとなった亡き息子が同名とのことです。名前がちょっと違うのはなぜなんだろ?_(:3 」∠)_
この映画はもともとアメリカとカナダで限定公開される予定だったのが拡大公開されて日本にもやってきたのだそうです。
当初限定公開だったのが拡大して映画賞に輝くまでになるって夢ありますね!
特に主演のジェシー・バックリーの演技が高く評価されているようなのでどのような演技を見られるか楽しみです!
先週公開された『ザ・ブライド』の多重人格演技もよかったですから期待してます( ^ω^ )
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
2020年に北アイルランド小説家マギー・オファーレルの同名小説をもとに実写映画化。小説は各種賞を受賞後に舞台化され、今回の映画化は原作者が脚本に参加しての製作となる。
イギリスの小さな村で若き劇作家のウィリアムは自由奔放な性格のアグネスと出会い徐々に惹かれ結婚する。
3人の子宝にも恵まれ幸せな家庭を築いていたがウィリアムは仕事のため単身ロンドンに出ており家庭はアグネスが1人で支えていた。
ある日、一家にとって大きな出来事が起きそれがきっかけで夫婦の関係が少しずつ変化が生じ始める…。
単身で子供を育てるアグネスを演じるのは『ロスト・ドーター』(21)、『ザ・ブライド』(26)のジェシー・バックリー。
若き日のシェイクスピアは『ロスト・ドーター』(21)でジェシーと共演したポール・メスカルが担当する。
他には『キングスマン:ゴールデン・サークル』(17)のエミリー・ワトソン、『ハリエット』(19)ののジョー・アルウィンなどが出演。
シェイクスピアの悲劇作品『ハムレット』のきっかけとなった息子ハムネットを『ピーター・パン&ウェンディ』(21)のジャコビ・ジュープが演じる。
現代まで語り継がれる作品がどのように作られ息子の死と向き合ったのか…
あらすじ
1580年イギリスの小さな村。貧しいラテン語教師ウィリアム・シェイクスピアは、森を愛する自由奔放なアグネスと出会う。
2人は互いに惹かれ合い、情熱的な恋愛の末に結婚して3人の子供を授かるが、ウィリアムが遠く離れたロンドンで演劇のキャリアを模索する一方、アグネスは独りで子どもたちを守り家庭を支えていた。
そんななか一家に大きな不幸が訪れ、かつて揺るぎなかった夫婦の絆が試されることになる――。
※引用元:公式HPより
感想
息子を探す苦悩から解放されるための物語のよう。森と生きる彼女と芝居に生きる彼の溝を埋めるための存在が『ハムレット』なのかもしれない…
人と喋るのが苦手だからこそ“劇”に
小さな村の貧しい家庭で育ち父親の借金をラテン語の教育で返済しているウィリアムと、“森の魔女”の娘として噂されているアグネス。
恋に落ち3人の子宝にも恵まれ、ウィリアムは単身ロンドンで演劇の実力を身につけていく。
離れ離れになっても1人で家庭を支えるアグネスだったが流行病で息子を失う。子供が闘病中にウィリアムが帰ってくることはなく、それが原因でアグネスの中でウィリアムへの愛が薄れ始める。といった流れのストーリーでした。
ウィリアムからアグネスにアタックするかたちで婚姻しますが、彼は対人関係を得意としておらず話すのが苦手とのこと。
自分からアグネスに声をかけてグイグイ行ってるのに話し下手ってなんか変ですが父親の存在がかなり大きいようにも感じます。
父の借金を返すために語学を教えているのにそれを引き合いに出すと「逆らうな」「役立たず」と暴力を受けたりネチネチ言われたりする。いや、お前の借金肩代わりしてんだぞ(´・ω・`)おそらくずっと抑圧し続けてきたんだろうなと。
それもあるから“劇”という空想の中が自分の言葉を吐き出せる唯一の場所だったのではないでしょうか?
彼の喋り下手があるからアグネスもどうしたらいいのかわからなくなるし、行動一つとっても「何してんの!?」って思っちゃう。
あとは性格?というか考え方にも違いがあり余計に拗れてしまう。
ハムネットを失って悲しむアグネスはウィリアムをずっと責めますが彼も悲しくないわけじゃない。
「1年間息子がどこかで待っているんじゃないかと探す」と吐露する場面があるもののアグネスはもっと短い感覚でそれを思っていると吐き捨てお互いに支え合うという気も起きない。
ウィリアムは息子の死を悲しまないのではなく生活するための仕事と照らし合わせ現実を見て行動しているのでアグネスからしたら死に目にも遭わず仕事を優先していると映ってしまう。
だからこそ才能が開花していた“劇”に息子への気持ちを載せてアグネスにも分かるように演目名も息子の名前にしたのではないでしょうか。
そんな劇をやるなんて知らなかったアグネスからしたら「息子の名前を使って何勝手にやってんだ!?」と困惑しちゃいますよ。
娘に「中身が気になるよね」と背中を押されアグネスは弟と見にいくんですが、やはり最初はプンスカ怒ります。登場人物が何を言ってるかさっぱり分からないから
でも演目が進んでいくうちに王である父親(ウィリアムが演者)が息子の身代わりになったことや助言をしにくるなどの設定が入り、ウィリアムがハムネットに対して思っていたことを演劇のセリフにして吐き出します。
後半になればウィリアムの気持ちをアグネスは理解していき、その結果ハムネットを送り出すきっかけにもなります。
少し前からアグネスの未来視の能力が調子悪かったのもウィリアムとの関係が変わり始めたことが起因しているのかなと。あとはハムネット自身が自分の「存在」そのものを起点に2人の仲を引き裂きたくなかったんでしょう。
2人の行き違いがなくなった最後に扉をくぐる姿の見せたのではないでしょうか?「母と離れてしまう恐怖」と「父との約束を果たすこと」の間に立って親より先に逝くわけですからね。
それだけでなくハムネットが夢見た「剣士役で劇に出る」を父のやり方で叶えてあげたってのも泣けるところ。
ハムネット自身が大人になって演者として参加することができなかったとしても作品の中に彼は生き、残り続けていきますからね。これも息子の最後に立ち会えなかったウィリアムなりの贖罪だったのではないかな。
“謎多き妻”を演じ切ったジェシーに拍手( ゚∀゚ノノ゙
作家として名を残したシェイクスピアに対して、記録がほとんど残っていない妻のアン・ハサウェイ(アグネス)を主人公とした今作ですが、演じたジェシーが本当に凄かった!
先週鑑賞した『ザ・ブライド』も良かったですが、女性から母に変わる場面やハムネットを失ってしまった時の“叫び”は圧巻。あそこまで表情を表に出す演技なかなか見ることできないと感じました。
『ザ・ブライド』は「クソな社会に対しての鬱憤」を叫んでいましたが、今作の「子供を失った母親」としての叫びはまた違う表情を観客に見せてくれるなと。
アグネスが村の中で「魔女の子」と言われる理由にもありますが、相手の手を握ったりすることでその人物の世界が見えたり、夢で見たことが現実に起きたりするなど科学的に証明することがなかなか難しいことをやっているからそう言われます。
あらかじめわかっていることがあるからこそ回避することができるものの、場合によっては起きることがわかっているのに何もできないこともある。
未来が見えるからこそ当事者の彼女の苦しみはかなり深いものになるでしょうし、その不幸が愛する我が子に降りかかるとなれば自身の無力さに絶望してしまう。そんな状態だけど夫は近くにいないしいつも頼りにしている未来視の力も発揮しきれない。
この能力ってやっぱりあの森が関係しているんでしょうね。長女を出産する時も森の中でしたし、何かあるごとに訪れ彼女の人生と共に生きている存在なのではないかと。
アグネスの能力が弱くなったタイミングも双子を出産するときに森に行かなかった頃からかな?と思いますし、中盤以降は森に行く姿がシーンとして登場することもかなり減っていきました。彼女の気持ちに呼応する形で森の音が流れてましたしね(´ω`)
そういうスピってる要素を入れると演じるのもかなり難しくなるんじゃないかなって思うんです。どういった原理でそうなるのかもわからないし、未来視なんて主観でしかないからいかに「っぽく」見せるかが難しい。
そんなキャラに母親という要素、しかも子供を亡くしてしまった母親ってハードルの高い内容を上乗せされてからこそ「アカデミー賞」を受賞できたのではないでしょうか?
最後に
めっちゃ泣ける!ってわけでもなかったんですが、迫真の演技に鳥肌たっちゃいました。なんかいろんな映画を見ていると「笑う」「泣く」って感情の揺らぎよりも演技自体に目がいっちゃうんですw
とはいえかなり強烈なパワーを持った作品に仕上がっていると感じましたね!やっぱ有名な偉人を題材にしているし、原作小説の著者も参加しましたから思い描いていた内容を盛り込むことができたのではないでしょうか?
エンドロールも優しく流れる音楽の余韻に浸りながら会場を出ることができたので、そこも含めて良作ですね。 拡大公開するために配給してくれたユニバーサル本当にありがとう!( ^ω^ )
シェイクスピアとアグネスの深く刻まれた悲しみを昇華させた『ハムネット』の誕生をぜひ劇場で堪能してください!
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価;


コメント