
人間誰しも得意不得意があるもの。それは仕事やスポーツだけでなく「人間関係」そのものにも得意不得意があるわけです。学校や職場には“他人”が1つの空間で一緒に時間を過ごすので中には「この人苦手なんだよな」とかもあるもの。
ただこの現象は他人同士だけでなく身内でも起きるもので一番近しい親兄弟なんかも性格が違えば好き嫌いも変わるし人によっては大人になってから疎遠なんてのもあったり。
そんな家族が亡くなったのをきっかけにその人のことを改めて知っていくのが今作『兄を持ち運べるサイズに』でございます。
社会人になって地元を離れたりしたらなかなか帰省出来なかったりするのは皆さんも経験あるのではないですかね?
私も「今年は帰れないなぁ」だけでなく「帰れるんだけど距離あるから帰るのめんどくさいな」とかで帰らなかったりもしたりしてて両親だけでなく親戚と顔を合わせる機会も減ってます(´ω`)
疎遠になっちゃったらその人が亡くなったタイミングでしか「知る」きっかけなんかもないですから割と多くの方がこの作品と同じ状況になったりもするんじゃないかなと。
今回の映画の元となっている原作小説も著者の方が体験した内容を綴っているとのことです。
この世に「生」を受けたら誰しもに訪れる「死」、それが実の兄弟に訪れた際に経験した怒涛の日々はどのようなものなのか?
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
2020年に作家:村井理子氏が自身の実話をもとに書いたノンフィクションエッセイ『兄の終い』をもとに映画化。監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)や『浅田家』(20)の中野量太が務める。
大人になってから疎遠になっていた唯一の兄弟である兄。その兄が急死したことで妹の理子、元妻と子供たちが集結し後片付けをすることに。
兄が住んでいた家を片付けていくごとに今まで知らなかったさまざまなことが判明していくヒューマンドラマ作品。
本作の主人公である妹:理子を演じるのは『ホリック xxxHOLiC』(22)、『でっちあげ〜殺人教師と呼ばれた男』(25)の柴咲コウ。亡くなった兄を『大怪獣のあとしまつ』(22)、『THE オリバーな犬(Gish!!)このヤロウMOVIE』(25)のオダギリジョーが担当。
兄の元妻:加奈子役に『ラストスマイル』(24)の満島ひかり、長女:満里奈役に映画初挑戦の青山姫乃、長男:良一に『俺ではない炎上』(25)の味元耀大が出演する。
疎遠となった嫌いな兄の後始末が徐々に今までのことを振り返る時間へと変わっていく…。
あらすじ
作家の理子は、突如警察から、兄の急死を知らされる。
兄が住んでいた東北へと向かいながら、理子は兄との苦い思い出を振り返っていた。警察署で7年ぶりに兄の元嫁・加奈子と娘の満里奈、一時的に児童相談所に保護されている良一と再会、兄を荼毘に付す。
そして、兄たちが住んでいたゴミ屋敷と化しているアパートを片付けていた3人が目にしたのは、壁に貼られた家族写真の数々。子供時代の兄と理子が写ったもの、兄・加奈子・満里奈・良一が作った家族のもの・・・
兄の後始末をしながら悪口を言いつづける理子に、同じように迷惑をかけられたはずの加奈子はぽつりと言う。「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」
兄の知らなかった事実に触れ、怒り、笑って、少し泣いた、もう一度、家族を想いなおす、4人のてんてこまいな4日間が始まったー。
※引用元:公式HPより
感想
信じられない行動ばかりの嫌いな兄。連絡が来ても無視するくらい嫌いだったけどいざ振り返ると存在しているだけでも支えになっていたのかも…。そう「支えであり、呪縛ではない」存在なのだ( ^ω^ )
私の兄はどうしようもない人…だが(´ω`)
幼少期の頃から兄ばかり可愛がられており母からも「お兄ちゃんは優しいから」と言われてきた主人公の理子。
大人になってから兄に連絡を取ることはなく、兄からたまにメールが来たりするが基本金を振り込んでくれといった内容ばかり。そんな兄が嫌いで子供の頃は「居なくなればいい」と思ってしまうこともあった。
原作者の村井さんは数々の単著や翻訳の仕事をしているので正直収入は普通よりは多いのではないでしょうか。身内からそういった形で頼られる場面があってもおかしくはない。
妹だけでなく親からもお金を受け取っていたのだが、一緒に暮らしていた母が膵臓がんになってしまったと知ったら家を飛び出し東北に逃げたそう。
母が亡くなった時は参拝者の前で号泣するも全員が帰った後に「香典の余りをくれ!お土産も買って帰らないと(´ω`)」と相変わらずの様子を見せる。幾つになっても地に足つけずフラフラしている。
そんなとんでもお兄ちゃんが脳出血であっけなく死んでしまったそう。
ただ兄の死を知らされてもイマイチ悲しいものが湧いてこないし、なんなら週末に予定している息子のラグビー試合はそのまま観戦しにいこうとする。夫と息子たちは唯一の兄弟が亡くなったということで理子を心配するがあっけらかんとしているので彼女が兄に対して何も感じなくなっているのが伝わってくる。
側から見てもヤベェ兄貴だなと感じてしまう奇人っぷりだったので、現実にいたのすげぇなって思いましたねw
ただそんな兄の後始末をしていくうちに彼が理子に送っていた「絶対嘘だろ」って内容のメールが嘘ではなかったのでは?と思える痕跡が顔を出し始める。
それに気がつき始めるのも元妻である加奈子が「知らないところがあるんじゃないか?」と言われたこと。
東北に出向く前の夜に理子は夫と会話して結婚して10数年経っても知らないことがあるんだと。血の繋がりや結婚して家族になったとしても自分とは違う人間である以上は知らないことはあるもの。そこに着目をしていく作品なのかなと。
兄がいつも口にすることは“嘘”と思ってたら元妻からは「何事も最初から嘘として言っていた気はしない」と言われたことで先入観を自分が持っていたとも感じてきたんじゃないかな。
結果的に達成できず嘘になってしまっていることが多々あるんだけど人間そんなに器用なものではない。物事全てを達成して嘘0にすることなんて無理ですから。
大人になったからこそいろんな面を拾い上げることができるわけですから死をきっかけに見つめ直せてよかったんじゃないかな。なんだかんだ「お兄ちゃん」だったってことですね( ^ω^ )
兄だけでなく両親のことも気になる
今作はお兄さんに注目した作品となっており大人の兄から幼少期の兄までどんな兄だったかを妹目線で振り返ってたわけですが、幼少期の回想で出てきた両親の姿も気になる。
兄が昔から不思議な感性を持っていたのは感じ取れたんですが、兄に固執する母と兄の感性が性に合わない父の方をもうちょっと深掘りしてもよかったんじゃないかな?
兄が嫌いってのはあったかもしれないですが、あの両親が兄嫌いの原因になっていたんじゃないか?母は兄ばかり可愛がるから「兄なんて居なくなれば…」と感じちゃうようにもなったわけだし、父はやたら兄に対しての当たりが強かったのでその辺りも含めて理子が形作られたんだと思うんですよ。
兄をメインに上手くまとめられてはいるのですが、だからこそあの両親のシーンを差し込んだ意図がよくわからない。物語の重要な鍵になるかと思えば回想で出てきたっきり何もないし、母の癌が発覚した際は顔すら映されないから理子は兄に対して嫌いというより母や父への気持ちを兄に対してのものだと勘違いしている部分もあるんじゃ…(´・ω・`)
共働きで夜遅くまで仕事をしている両親の姿を兄に連れられて見にいくってのはいい思い出なんだろうけどああいう登場のさせ方だけでいい。
最後に
嫌いだと思っていても兄は兄だし、兄だけが変な人だと思ってたらやはりその妹も変わり者なんですねww
新幹線の車内で“分骨”の話題が出るのはまぁあり得るんですが、まさか車内で骨壷開けて骨を座席の隙間からひょこって出してくるのはやばすぎる( ^∀^) なんなら兄よりもヤベェやつなんじゃないか!?
あと今作はそこまでスムーズにストーリーが展開されていくわけではないです。作家である理子らしく兄への気持ちなんかをタイピングで書き起こされたりするんですが、それを観客に読ませるから割とゆっくりめなスピードで進んでいくので、人によってはもうちょっとすらすら進んで欲しいと歯痒くなりそう。
家族を振り返るのでシリアスというか真剣なシーンでゆっくりと進行していくのはわかるんですが、それがずっと続いていくとう〜んってなっちゃう人もいるんじゃないかな。
とは言ってもシンプルに泣けましたけどね( ;∀;) そりが合わない身内がいてもその存在だけでやっぱ支えになってんですね。
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆★★3/5
