
私が子供の時はGEOや個人店なんかでDVDを借りてきてアニメや映画なんかを見たりしていました。今でも借りることができる店舗はありますが、動画のサブスクなんかで減りつつありますね。
お金を払って何かを借りるという産業の形で代表的だったのが上記だったわけですが、時代の変化で借りるものが“人”に変わってきました。なんとも面白いというか変わったやり方ですが今となっては結構普通になってきています。
だけどよく考えればテレビで見るような俳優の役が身近に降りてきた感覚に近いのかなと思います。テレビで見るような有名人じゃないですが「誰かを演じることができる人」が生き残れる新しいサービス産業の誕生なのかなと( ´∀`)ハハッ
そんな誰かをレンタルすることを題材にしたのが今作『レンタル・ファミリー』でございます。
2022年に公開された『ザ・ホエール』でブレンダンが映画界に帰ってきて話題となり、今回約3年ぶりの新作ということでワクワクです( ^ω^ )
多くの人がいる大都会東京で孤独やさまざまな悩みを抱える人たちに何かしらの助けとなるかもしれない「誰かのレンタル」。今作ではどのような出会いや現代社会のかたちを見ることができるのか!?
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
現代の日本を舞台に「レンタルファミリー社」所属の俳優が見知らぬ人たちのためにさまざまな役を演じる姿を描くコメディドラマ作品。映画は2025年9月にトロント国際映画祭でプレミア上映され、アメリカと日本の国際共同製作で撮影された。
俳優として日本で生活しているフィリップ。かつて日本のCMで有名になったが徐々に仕事も減ってきてしまい自分を見失いつつあった。
そんな中、レンタルファミリーの仕事に出会い誰かにとっての「家族」を演じることに。いろんな人に出会い深く関わることでフィリップ自身の中にも少しずつ変化が生じてくる…。
主役のフィリップを演じるのは『ハムナプトラ』シリーズで人気を博し、2022年公開の『ザ・ホエール』で久しぶりに映画界へ帰ってきたブレンダン・フレイザー。『ザ・ホエール』では第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞しているので今作も期待が高まります(゚∀゚)
他には『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(25)の平岳大、『相棒』シリーズ(18〜)や『半沢直樹』(20)の柄本明、『TOKYO VICE』(22)で脚本・プロデューサーを務めた山本真理などが出演する。
見知らぬ人にとっての「誰か」を演じるお仕事「レンタルファミリー」。この仕事がフィリップや周りの人に何をもたらすのか?
あらすじ
俳優としての仕事を細々と続けながら、東京で暮らす内にすっかり街に馴染み、狭い電車の座席に大きな体を滑り込ませ、暗いマンションの1室で一人晩酌をする。
そんな日々を送り続けていたフィリップは、ある日、ひょんなことから“レンタル・ファミリー”会社を経営する多田から仕事を依頼される。
レンタル・ファミリーとは、報酬を得て、その人にとって大切な「家族」のような役割を“演じる”仕事だ。
人の人生に深く関わるこの仕事に最初は困惑し、戸惑いを見せていたフィリップだったが、彼らと関わる中で、フィリップ自身にも少しずつ、心にある変化が訪れていくのだが…。
※引用元:cinemacafeより
感想
演じるだけが必ずしも良いわけではない。場合によっては楽な方に逃げているだけ…。自分に非があるのに誰かを盾に逃げるのはあってはいけないし、それを産業として存在させた社会への皮肉なのかも。てかやっぱ柄本さん強すぎるってww(゚∀゚)
予告のイメージと全然違った作品
葬儀の参列者、結婚式の新郎、学校受験を控える女の子の父親。誰かにとっての誰かを演じ、仕事を請け負う会社「レンタルファミリー」との出会いから多くの人と関わりさまざまな体験や心情の変化を描く今作。
予告を見た時はCMで一躍有名になったがその後うまくいかない俳優が立ち直るといったストーリー展開をしていくと感じていました。
要素としてはそこがメインではあるのだが中身はそんな浅いものではなく、誰かのために演じると同時に自身について考えを改めるような作品構造になっていたのかなと。特にフィリップから見る日本の日常という景色は彼がそこにいるんだけど馴染みきれない感じや孤独という切ない感情を序盤にふんだんに盛り込んできます。
彼が住んでいるマンションのベランダからは反対に建っている別のマンションが見え、そこに住んでいる人たちは誰かと楽しそうに過ごしたり1人でも笑っている姿が目立つが、フィリップは暗い部屋で1人で晩酌をするだけ。
向かいの人には気が付かれないけど一緒に楽しんでいるかのように振る舞い気を紛らわしているように見える。このシーンだけで彼の孤独感や日本という国にまだ慣れていないのが見て取れます。
こういったシーンだけでなく彼の行動も日本に7年もいるけど馴染めていないのが伝わってくる。ビールを頼めばグラスは2つ出てきたり、混み合う電車での行動だったり、神社でのお参りだったり。
外国人観光客がよく言う「言葉を介さない思いやりの精神」がところどころに散りばめられているんですが、正直現代社会に生きる日本人の私でも忘れていたところがある。そこに対して見ているこっちも胸がキュッてなる(´ω`)
そんな彼を変えるきっかけとなったのが少女の父親役。受験を控える女の子:ミアの父として数週間の間定期的に父として会うことになったのですが、ミアが思っていたより懐いてしまったんです。
ミアはフィリップが偽の父ということは知らないけど本当の父として真っ直ぐ向き合い彼に人との繋がりやぬくもりを与えてくれます。
だからこそ求められていても偽りの姿を見せ続けるのは演じている側の感覚をおかしくさせます。
山本真理演じる愛子の気持ちもわかります。この仕事をすることで誰かの助けになるし、支えとして役立つことができると。
ただここからが日本人のよくないところ。助けになるからなんでも引き受けるんだが、演者側の心まですり減らすような依頼も受けちゃっていうね…。愛子自身は誰かの助けになるから仕事をこなしていたんだけど、それが自身の体を傷つけ蝕んでしまったから「ここまでしてやる必要があるのか?」と目的が歪んでいっちゃうんです。
このシーンを見て日本の現代社会でも同じようなことが起きているなと感じました。
重なったのは退職代行かな。個人的にそれ自体は悪いとは思わないんです。ブラック企業を辞めたいけど会社が話を聞いてくれないとか法律を無視して埒があかないこともあるでしょうから。
そこまではまぁ考えうるシステムではあるなと思っていましたが、退職代行を辞めるために退職代行を使い始めるというなんか訳わかんないことが発生してきています。
インタビューとかで誰かの救いに!みたいな回答をしていた人が心をすり減らし辞めていく。しかも代行で。一時期のビジネススタイルとしてはいいんでしょうけど、なんかこんな社会で本当にいいのか!?って考えさせられます(´・ω・`)
と脱線してしいましたが…。
愛子の気持ちからさらにもう一段階昇華したのがフィリップ。単に演じるだけじゃなくて「レンタル」という関係を飛び越えた信頼と交流を得ていきます。
偽りを超えてミアは父として、キクオさんは友として。そこまで関係を築き上げられたんだけど「レンタル」という立場がフィリップを拘束しちゃいますし、子供のミアを守るためについた嘘がかえって彼女に一生残る傷になりかねない。
嘘で固めて得た安心で成り立ってはいるんだけど、少しの衝撃で崩れ落ちてしまうかなり脆いシステム構造。そんな中で生きていくのって結構苦痛ですよね。
後半ではキクオさんのわがままに付き合ったフィリップが今後そう生きていくのかを考えるフェーズになっていきます。
誰かを演じることでの交流や、風俗嬢とのひと時で孤独を埋めている彼自身も「レンタル」という存在に救われている側だったわけです。誰かと一緒に過ごすことで自分の存在意義や誰のために何をしたいのかといったことを考え行動する。
レンタルがわの立場ってこともあってそれはやっちゃダメでしょってこともしちゃうんですが、まぁそこは映画なんでね。
でもこのレンタルされる白人男性から1人の友人として殻を破るには必要な工程なんです。人が人らしく生きるために誰かと交流し関係を深め、時には自身のことより優先して助ける。ある意味人間らしさを取り戻すための入り口が「レンタルファミリー」だったのかもしれません。
ブレンダンの過去を知っているとより苦悩からの脱出や人間らしさを取り戻している姿が泣けてくる( ;∀;)
柄本さん最強!
数々の映画作品やドラマで印象的な役をこなしてきた重鎮:柄本明。今作もこの人の演技がずば抜けすぎててブレンダンが薄れちゃうよ!(゚ω゚) なんでこんなに強いんだ!悪の親玉とか味方だったら心強い役をめっちゃしているのにその中でも認知症でもう長くない人とかやらせたら誰も勝てんだろ( ´∀`)
最初は認知症の有名俳優でフィリップが記者として話し相手をする仲だったのが、いつしか“友”になっていく。「レンタル」という立場を超えてキクオが生まれ育った熊本県天草まで同行することに。
ただ一緒に行くんじゃなくて依頼者であるキクオの娘に内緒で勝手に連れ出しちゃうというw 認知症もあるし外で症状が出たら危ないから外出も控えさせられていたけど、キクオ自身が忘れる前に訪れたいと友人として頼まれたからそこまで行動しちゃいました。
そして天草の生まれ育った家(廃墟)で一夜を過ごし、大木の足元に埋めていたタイムカプセルを開けて当時を振り返るあの姿。まさかこの作品で涙流すと思っていなかった。゚(゚´ω`゚)゚。ウエーン
しかも撮影環境がかなり過酷で山道だし、ドローンで取らないといけないし、家は木々が生い茂った廃墟でもう崩れるんじゃないか!?と思っちゃう見た目の状態。そんな環境なのによく許可が出て撮影をしたなと。
しかもわざわざ行く必要もないのに行ってますからね。撮影協力に天草市の表記があったので。関東圏内であればお金も抑えられるしそれらしい風景も取れるだろうけど、空撮を入れるから外せなかったんだろうな…。その力の入れようにも脱帽でございます٩( 'ω' )و
最後に
思った以上にフィリップ=外国人だという映し方がうまくされており、彼が「日本」に同化していく姿がよく撮れていました。とは言ってもやはり日本人ではないから何か問題が起きれば強制送還というカードを切られる可能性がある。
友であるキクオさんの力になりたくてやったことでも何も言わずに勝手にやれば「誘拐」という犯罪行為として捉えられる可能性があるということ。
何か犯罪を犯せば国から出ていってもらうというのはその国の治安維持としては至極当然のことであり、日本人が外国に行ったとしても同じこと。
こういった現実もあるからこそなかなか踏み入った関係構築をするのは難しい。フィリップ自身が自分の父親が亡くなった際、葬儀に行くことができず後悔をしていたのもあってここで何かやらないと後悔しちゃうってのと純粋に助けたいと思ったからこその行動なのがよりお互いを助け合う日本人らしさを得られたのかな。最近はそういうのも薄いですからね…。
『ザ・ホエール』に続き今作も良かったですね。ブレンダンの俳優人生第二幕がより良くなってほしい。あんなボロボロになりながら『ハムナプトラ』を撮り、いろんなストレスに悩まされた人ですからワークライフバランスを大事にしながら俳優業を続けてほしい。
25年間待ち望んだ日本での撮影とのことなのでぜひまた日本に来てください!次回作楽しみにしています( ^ω^ )
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆☆★4/5
