邦画監督の中でも多くのヒット作品を生み出し自身も俳優として出演したりしている三谷幸喜氏ですが久しぶりの新作が出てまいりました!(゚∀゚) 前作は5年前に中井貴一さんが主演を務めた『記憶にございません』だそうです。そんなに時間が経っていたのか…。
たくさんの人が彼の作品を楽しみにしていたことでしょう。内容が何かを知らずに観にいく人もいるんじゃないでしょうかw それくらい「この人の作品だったら観にいくよね」と思われる人気があるのではないでしょうかね。
監督の基本形が“喜劇”で類似の作品があまりないってのも特徴の一つだと思います。ただの喜劇作品でなく「三谷幸喜だからできる作品」として評価されているのでそこで差別化され作風が好きな方が多いのかなと思います。
今作は1人の女性がいなくなったことから始まるミステリーコメディということですがどんな結末を迎えるんでしょうかね?彼女を追うキャラが多い分どのように決着するかが想像できないです!
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
テレビドラマ、映画、舞台で多くの作品を残し自身も俳優として作品や番組などに出演している三谷幸喜氏の最新作!直近の映画作品が5年前の『記憶にございません!』で間が空いていることもあり注目されている人も多い作品ではないでしょうか?
突如失踪したスオミという女性を探す5人の“夫”を名乗る男性達。それぞれが知る彼女の姿を語り合うがどれも全く違う人物像であり同じ人物について話しているのか分からないほど。そんな彼女はどこへ行ってしまったのか、一体何者なのかをコミカルに描くミステリー作品。
失踪したスオミ役は三谷映画には初挑戦の長澤まさみが担当。三谷監督の舞台やドラマには参加経験があるようですが映画は意外に初めてなんですね!
スオミを探す5人の夫をドラマ『ラジエーションハウス』(19〜21)、『首』(23)の遠藤憲一、『孤狼の血』(18〜21)、『流浪の月』(22)の松坂桃李、『記憶にございません』(19)、『鎌倉殿の13人』(22)の小林隆、『散り椿』(18)、『シン・ウルトラマン』(22)の西島秀俊、『クロサギ』(22)、『VIVANT』(23)の坂東彌十郎が演じる。
他にも『記憶にございません』の宮澤エマ、『コンフィデンスマンJP 英雄編』の瀬戸康史、『赤羽骨子のボディガード』の戸塚純貴も参加!
スオミという女性の正体はなんなのか、どこへ何の理由があって消えてしまったのか!?その正体は…!?
あらすじ
その日、刑事が訪れたのは著名な詩人の豪邸。《スオミ》が昨日から行方不明だという。スオミとは詩人の妻で、そして刑事の元妻。
刑事は、すぐに正式な捜査を開始すべきだと主張するが詩人は「大ごとにするな」と言って聞かない。やがて屋敷に続々と集まってくる、スオミの過去を知る男たち。
誰が一番スオミを愛していたのか。
誰が一番スオミに愛されていたのか。
スオミの安否そっちのけで、男たちは熱く語り合う。
だが不思議なことに、彼らの思い出の中のスオミは、見た目も、性格も、まるで別人…。
スオミはどこへ消えたのか。
スオミとは一体、何者なのか。
この秋、三谷幸喜真骨頂!極上ミステリー・コメディの幕が上がるー!
※引用元:公式HPより
主なキャラクター<俳優名>
スオミ<長澤まさみ>
突如失踪した大富豪の妻。
魚山大吉<遠藤憲一>
スオミの1番目の夫。血の気の多い庭師。
十勝左衛門<松坂桃李>
スオミの2番目の夫。自信家で見栄っ張りのYouTuber。
宇賀神守<小林隆>
スオミの3番目の夫。情に厚くお人好しな警察官。
草野圭吾<西島秀俊>
スオミの4番目の夫。かなり神経質な警察官。スオミが行方不明だと聞きつけ、寒川の豪邸へ足を運ぶ。
寒川しずお<坂東彌十郎>
スオミの夫。自分勝手な詩人。
小磯杜夫<瀬戸康史>
草野の有能な部下。癖の強い5人の夫たちに振り回されながらも、スオミの行方不明事件を解決すべく奔走する。
薊<西澤エマ>
ある時は、スオミのママ友。ある時はインテリアコーディネーターの女。スオミの行く先々に現れる、神出鬼没な謎の女。
乙骨直虎<戸塚純貴>
スオミの夫である寒川の世話係。身勝手な寒川に翻弄されている。
※引用元:FASHION PRESSより
感想
コメディ要素が強めのミステリー作品だが思っていたより笑いは弱く感じてしまった。スオミ自身の動機についても納得できるけどコレジャナイ感があり三谷監督にしては…が正直なところ。別に見れないわけじゃないがハードルは越えずに潜ってきたかな(´ω`)
スオミへの“愛”でマウントの取り合い
突如姿を消してしまったスオミを探すべく集結した5人の夫たちが互いのスオミへの愛でマウントを取り意地の張り合いをしながら彼女の真の顔を暴いていく。
彼女が誘拐されたのかただどこかをほっつき歩いているだけなのかが分からなかったり、スオミを誘拐したとしたら誰が何の目的で犯行に及んでいるのかを紐解いていくわけです。がそれに合わせて夫たちから見たスオミから彼女の姿を浮き彫りにし進行していきます。
夫たちの登場順に行くと…↓
最初に捜査のメインとして登場した4番目の夫・草野はスオミが料理や家事が苦手で運転も得意じゃない不器用な妻でそのあたりのことは全て自分が担当してしまったりします。
現夫である詩人の寒川は料理や子供の弁当を自分で作って面倒見のいい妻として写りスオミに金で困ることはないように接していた。
1番目の夫・魚山は元々教員をしておりスオミが中学時代の先生で成人してから籍を入れたそう。スオミは普段はツンケンして機嫌を損ねているけどたまにデレたりするいわゆるツンデレなところに惹かれていた様子。
3番目の夫・宇賀神にはスオミが日本人ではなく中国人に見えており彼女が普段何を喋っているのか全然わかっていなかったそう。言葉はわからないけど彼女が言うことを否定はせず基本的に何でもOKでやってきていた。
最後に2番目の夫・十勝はマルチ(まがい)の商売で金を稼ぎ過去に警察に厄介になったこともある人物で今はYouTubeなどで生計を立てている。
それぞれが記憶しているスオミはどれも性格が異なり「本当に同じ人物なのか?」と疑ってしまうほど。5人は各々が今でもスオミのことが好きで自分が彼女のことを一番知っている!と自信を持っているのですね( ´∀`)ハハッ
彼女に関する気持ちなんかで競い合いながらもスオミの行方を協力して追いかけるんですが5人ともあまりいい旦那には見えないのです…。
現夫の寒川以外はスオミに捨てられるようなかたちで終わっていますし草野なんて寒川との結婚式に呼ばれるという屈辱を食らっているんですw 草野自身は嫌だけどスオミに頼まれたら「何もできないこいつの願いを叶えてやろう」みたいな優越感に負けて行っちゃうっていうね。
スオミが夫1人1人に合わせた性格や言動をしていることから少なくとも夫の求める女性像を演じているのがわかりますね。彼女は自分らしくいるわけではないので結構かわいそうなキャラですよね。
自分を表に出さずに偽りの顔を見せて幸せなのか?魚山はどうかわかりませんが他の4人は経済的にそこまで不自由はしないっぽいので金銭面は問題なかったでしょうがそれだけで幸せと言えるんでしょうかね。昔の夫婦像がちょっと重なるような感覚なのかな?
スオミとの付き合いが長いとかどうとか言ってマウントを取り合ってましたが結局真の彼女を知らなかったということです。元は他人ですから相手のことを100知っているなんて思い上がるなってことですね。
客観的目線を持とうってことでしょうか。今作の5人の夫たちを見て自身と重なった男性もいたんじゃ!?(゚ω゚)ドキッ
舞台が固定化されているから変わり映えがない。笑いも弱い
今作の舞台は行方不明になった時に夫だった寒川の自宅で基本ここから動かないままストーリーが展開していく。何か情報を得るにもその場で手配したりするだけなのでストーリーの中身は進んでいるのに場所が変わらないから進んでいる実感が湧きにくかったです。
スオミや他の夫が出てくるにつれて展開が変わっていくので進んでいるのを楽しめる人もいるでしょうが私は場所も気にするので移動がないと変わった感覚を感じにくいです。
構成によっては悪いものではないんですがキャラも多いし謎要素も多い感覚で劇場に行ったので「ずっと寒川邸だからどっか行かんかな」と思っちゃいましたね( ´∀`)ハハッ 寒川が誘拐の線はないと断定しているため周辺を捜索するそぶりもないんですよね。
しかも身代金の電話が来たのに警察の手を頑なに借りようとしないから余計に「なんで!?」ってなりました。 それも含めてミステリーにしているんですが全部寒川邸のリビングで行われるからねぇ…。
あとは笑い要素が弱め。笑い声は場内で聞こえてくるんだけど個人的に割れってしまったところは正直なし。内心で面白いと感じてはいるものの声に出すようなラインまでは来ていないので顔がニヤけることもない。
スオミが今回の騒動を起こした説明をしているときに質問してくる夫によって受け答えを変えているんですがその設定は面白いと感じましたが、笑いにまで昇華はしないんですよ。結構ぶっ込んできていたから山場としていたのかもしれませんがパッとしないんです…(´ω`)シュン
キャラクターが濃くて面白い要素が多いんだけどちゃんとしたまとめ役がいないのも要因なのかなと。たまに小磯が突っ込んだりしているんだけどボケ要素も多めなのでまとめているわけではないのでね。
もっと終始ツッコミ役に転じるキャラがいたらいいのですが5人の夫たちはボケサイドにいるのでメイン寄りのサブキャラを確立してまとめ役にした方が良かったんじゃないでしょうかね。
最後に
長澤まさみがいろんな年齢の役を切り分けて演じていたので演技力の幅広さに驚きはしましたね。まさか中学生の役までやるとは思ってませんでしたけどw
エンディングのミュージカルは綺麗な歌声で大人な女性らしさを出し魅力あふれる出来ではなかったでしょうか。
スオミの目的は自身の名前の意味も相まってフィンランドで静かに暮らすことを望んでいたようです。スオミ=フィンランドを意味するそうですね。フィンランド語?って面白いですね。昭和の日本人っぽいなって。
スオミ自身の目的も素敵な内容ですし5人の夫がどれだけスオミを愛しているかを全面に出している作品ではあったものの冷静に考えたらただの詐欺未遂事件なんですよね。 現夫の寒川が問題にしないってことでお咎めなしになりましたが。
それと宮澤エマ演じた薊は何でスオミにくっついているんでしょうかね?同級生のアレで一緒に行動して今回の計画を実行したのかな?詳しい動機がよくわからなかったので…。彼女はスオミにくっついて楽に暮らしたいようにしか見えなかったので(゚ω゚)
いつも見ている三谷監督の勢いというか面白さは感じられなかったです。予告から期待値を上げすぎていたのかもしれないですね。
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆★★★2/5