見ている人の胸をキュンキュンさせてくれる恋愛映画。このジャンルの作品って出演する人が結構偏るというか、「出てるイメージあるなぁ…」って人を見ることが多いんですが今作はその印象があまりない俳優が登場。
映画が上映される前の予告集で流れてきたんですが、アメコミ好きの私としては「この2人が恋愛映画の主役をやるの!?」と驚きを隠せなくて見ようと思いましたww
と言ってもアンドリューはまだ分かる気はする。スパイダーマンがヒーロー作品なんだけど恋人との関係が深く絡んでくるから恋愛要素に振った作品に出ていても頷ける。
フローレンス・ピューってそんな印象あったかな?最近出ている作品がアクション系ばかりだからかそういう作品が頭をよぎらないので「こういうのも出るんだ(゚∀゚)」という感じなんですよww
A24配給ってのも魅力的なんですがこの2人がどんな恋愛ストーリーを描いてくれるのかにも期待が高まりますね!
アンドリューも久しぶりに見る気がします。ノー・ウェイ・ホーム以来だと思うのでまる3年ぶりとかですかね?スパイダーマン以外だともはや思い出せない(´ω`)
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
2024年9月のトロント国際映画祭で初公開されたA24フィルムのロマンティック・ドラマ作品で、2016年公開の『ブルックリン』でアカデミー賞作品賞を受賞したジョン・クローリーが監督を務める。
一流シェフの女性・アルムートと失意のどん底に落ちた男性・トビアスが出会い恋に落ちる。共に幸せを感じながら日々を過ごし、2人はめでたく結ばれ子供も授かることができた。
が、彼女が病に侵されていることを知ることに…。限りある時間で出来るだけ多くを残そうと考え、2人はある決意を出すことに。
一流シェフのアルムート役を『ミッドサマー』(20)、『サンダーボルツ*』(25)のフローレンス・ピューが担当。トビアス役は『アメイジング・スパイダーマン』(12〜14)シリーズのアンドリュー・ガーフィールドが出演。
2人ともアメコミ作品に出演しているので”恋愛作品”に出演する印象は薄く感じています( ´ ▽ ` ) 恋愛要素が入っている作品に出ていたとは思いますがそれだけってのは無いと思うのでどんな演技を見せてくれるのかは気になるところ。
他の配給会社とは毛色の違う「A24」の新作ということもあり私自身結構前から注目していました!
アメコミ大好きなのでそこに関わる2人が恋愛を見せてくれるのがギャップあってどんな感じか楽しみです。やっぱアンドリューは恋人が亡くなっちゃう役になってしまうんでしょうかね!?
あらすじ
新進気鋭の一流シェフであるアルムートと、離婚して失意のどん底にいたトビアス。何の接点もなかった二人が、あり得ない出会いを果たして恋におちる。
自由奔放なアルムートと慎重派のトビアスは何度も危機を迎えながらも、一緒に暮らし娘が生まれ家族になる。
そんな中、アルムートの余命がわずかだと知った二人が選んだ型破りな挑戦とはーー。
※引用元:公式HPより
感想
ガンをきっかけに自分を後世に残そうとする姿を描く一作。儚いけど愛おしく感じてしまう感動作に仕上がっており、随所に泣けるシーンが散りばめられている。感動ものとしてかなりオススメなんだが鑑賞できる劇場が思ったより少なくて…(´・ω・`)
“今”を生きて残す
アメコミ作品で見ていたフローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールドが感動モノのラブストーリーを演じているわけですが、アクションをずっと見てきた私としては「いけるのか!?」と思いながら鑑賞。
今作はいわゆる「非線形の語り口」で物語が徐々に繋がっていく構成がとられています。時系列がいろんなところを行き来する構成ですね。主人公の2人が家族になっているかと思ったら出会いのシーンに移動したり、カップルになる前のシーンに行ったり、彼女の病気が発覚したりとその時々をシャッフルして見ていく感じですね。
ガンになってしまうアルムートは気持ちをまっすぐに伝えたりする「ハッキリとものを言う」タイプの女性で、異性愛だけでなく現代的な恋愛観を持っているような女性です。トビアスと交際している時に子供の話になりましたが、もともと彼女は現時点では想像できなくて望んではいない立場。
そんな彼女を支えるトビアスは大手シリアル製造メーカーのデータ管理部門で働いており、アルムートみたいにハキハキした感じではなくどっちかというと陰キャ寄りな印象。
この2人の考え方や価値観は作中にも織り交ぜられており、それはアルムートのランニングとトビアスのストップウォッチ。朝にランニングをして厨房という戦場を戦い抜くアルムートはその時その時を全力で燃やしているように感じられます。
一方のトビアスは時間を管理して先々を計画的に進めていきたいのかなと。この価値観の違いがあるので病気が発覚した後も衝突してしまったりする場面も。
ラブストーリー作品って他人が一緒になるわけなんでこの衝突が共に生活していく中で変化していくところも見所の一つ。
2人が病気の診断を受けて決意するのが「結婚」と「出産」という2つの軸。トビアスはアルムートと会った時点でバツイチなんですが、彼にとってもう一度結婚するというのは不安が大きいわけです。 しかも前妻と離婚した原因が「これから子供も欲しい中で遠距離婚状態になった」こと。
そう、彼は年齢的にも子供を望んでいるんです。
だけどアルムートはもともと望んではいないし、いろんな恋愛の形を経験しているタイプ。トビアス自身がアルムートに恋をする予感を自覚しているけど彼女は子供をすぐには望んでいないからその境で悩む場面も。
アルムートも卵巣がんが発覚し卵巣を残すか全摘するかの選択を迫られます。この出来事があったから「子供を授かりたい」と願ったんですね。要はトビアスと結婚して“ヘテロ(異性愛)”を選んだんです。
ここから彼らの努力が始まります。
アルムートはガンに侵された卵巣を手術し妊活を開始。妊娠検査薬で何度も落胆しやっと授かることに成功。やっと子供を授かることができ無事出産。 1人授かるだけでもかなり大変なことが伺える描写になってます( ;∀;)モウナケル
そこから娘が3歳になりガンが再発してしまう。
最初は医者の薦め通り薬により縮小後に摘出手術をするつもりでした。彼女もそれを覚悟していたし頭も坊主にして臨むほど、だけど少し気がかりもある…。 それは「苦しい闘病生活よりも全力で生きて娘の中に残り続けたい」というもの
ここでも“時間”に対しての2人の価値観が出てきます。トビアスは彼女に治ってほしいと願っているから仕事はやめて治療に専念しようと考えています。
ただ彼女は今まで積み上げていたものやプライド、自分のお店もやっており従業員のこともあるからやめる気はない。それと前の上司からボキューズ・ドールという料理の世界大会の選考候補に選ばれこんなチャンスはない!と出ようと考えています。
だけどトビアスが賛成するわけもないので隠れて特訓を続けていました。選考会を通過した後は練習時間も増えて娘の迎えも忘れてしまうくらい。これをきっかけにトビアスにもバレてしまいます。この時言い合いになってトビアスは彼女の本心を聞くことに。
トビアスは彼女のためを思って治療の道を選んでいましたが、薬により病巣の抑制も効果がなかったためアルムートは自分が長くないことを覚悟していたんでしょう。
だからこそ最後のチャンスを掴みたいし、娘にも抗がん剤で苦しんでいる姿ではなく世界と戦う母親として記憶に残り続けたいと望んでいました。
トビアスもアルムートの考えを尊重することを決意します。それを選んだことでもともと計画していた結婚式も世界大会の日程と被ったため式も無しにして大会を優先することになります。
トビアスが作っていた招待状をゴミ箱に捨てるんですが式ができないことや彼女の先を考えて号泣。もうこんなん泣くしかないやろ!応援すると言ったものの最愛の人を失ってしまうわけですからね。
そして世界大会へと挑んでいきます。
これが「全力で生きる」ってことなんですよね。病巣が変わっていないってとこから彼女の結末はある程度予想できるし、それを考えながら戦う姿を見ると涙腺崩壊。。。
かなり王道のロマンス作品ではないですかね?いろんな作品が世に出ているので時代ごとに工夫を追加しながら公開されてきていますが、結局こういうのが一番刺さるんですよね( ´∀`)
最後に
今作はいろんな時系列がシャッフルされていることもあり見ておいくと混乱していきやすい分類なのではないでしょうかね? それを視覚的にわかりやすくして補助する工夫もされています。
アルムートの髪が坊主になるのとかそうですよね。ガン治療でそうするのはよく知られていますが、作中に入れることでどの時系なのかをわかりやすくしています。
なのでバラバラのパズルを組むのもやりやすいし、ストーリーや心情もまっすぐに入ってくるから泣ける。
意外だったのが公開している劇場の数が少なかったこと。いろんな作品で予告を見ていたのでいつも行ってる劇場で見れると思ってたらまさかの見れない…。近くの別劇場で公開されてたのでそっちにいきましたが、公式HPの掲載シアター数が少なくて驚き。
人生の美しさと儚さ、生きる力強さや母の愛を感じられるいい作品だったのではないでしょうか(´ω`)彼女の存在はちゃんと残り続けていましたね。
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆☆★4/5