日本に生まれ住んでいれば一度は聞いたことのある歴史上の人物はたくさんいますよね。その中で今作で描かれるのはあの宮澤賢治……のお父さんこと宮澤政次郎さん。
国語の教科書に載っていたりするのでどこかで読んだことがあるとか見たことあるなんて方も多いでしょう。 そんな数々の作品を作ってきた宮澤賢治を本人の目線ではなく家族からの目線で描いたのが今作でございます。
本人が大成するまでの道筋を描いたりなんかはよくありますがこの目線でのストーリーってそんなに見ないかなと思います。
最初から有名だったわけではない彼がどのように作品を描き残したのかを描いているわけですが、彼自身かなり若くに亡くなっていますし怒涛の人生だったのではないかと。37歳って若さでこの世を去っていますからね!
そんな彼の人生を見てきた父親はどんな人だったのか!?作品が世に出ていくまでの過程や人生で起きたことなど気になるところがたくさんありますね!!
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
日本を代表する詩人・宮澤賢治を父親の目線から描く作品となっており、原作となった長編小説『銀河鉄道の父』(17・講談社)は第158回直木三十五賞を受賞。 2020年には舞台化もされており今年満を持して実写映画化される。
今もなお語り継がれる唯一無二の作品たちを残し世界から愛されている宮澤賢治自身だが、実は無名のままこの世を去っている。では現在彼に対しての評価はどこからきたのかと言えば彼の作品を世に出していた“家族”の存在にある。
我が子の才能を信じ続け、作品に対して諦めをつけず送り続けたことで世に広まり現代まで名前が残り続けているんです。
そんな文豪を支えた立役者である父・政次郎の目線で描かれた今作は“ダメな息子”と“振り回される父”が道を見つける物語。温かく感動的な家族愛に涙してしまうでしょう。
あらすじ
笑って、泣いて、ぶつかって 弱いけど強い、それが家族。
質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。
そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。
だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。
「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。
「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。
だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる──。
監督情報
今作の監督は成島出。
今回の作品で成島監督の作品は今年2本目になりますが、“家族愛”をテーマにした映画が続いており年明け公開の『ファミリア』は結構シリアスな物語だったのでかなり違う角度の家族像になりそうな予感がします。
ヤクザ映画なんかを製作していた監督さんですが最近は家族の温かい作風が目立つ方ですね。『ファミリア』も上映劇場はそこまで多くなかったと思うんですがとてもいい作品でした。
結構描写が激しいのもあり総評的にはそこまででしたが涙がポロッとしてしまうような内容でよかったです。
そんな成島監督の最新作は日本の皆が知る有名な偉人に関する作品となっており、原作も受賞歴があるので出来栄えが気になる一作となっています。この温かい家庭を見たらあなたも実家に帰りたくなるかもです! というか公開時期的に帰省してるかもですね( ^ω^ )
キャスト<俳優名>
宮沢政次郎<役所広司>
宮沢賢治の父。
岩手県花巻で質屋を営む。商売の才に長け、地元の名士として周囲からも一目置かれる。長男の賢治の誕生を心から喜び、跡取り息子として期待を寄せるが、我が道を邁進する賢治に振り回される。
宮沢賢治<菅田将暉>
中学の卒業後、家業を継ぐことを断固拒否し、父に頼み込んで進学するが、農業、人造宝石の商い、宗教と、興味の対象がころころ変わる。生活力はなく、父に金を無心していたが、妹を励ますために書いた童話で文才に目覚める。
宮沢トシ<森七菜>
賢治の妹。
頭脳明晰で、女学校の教師となる。賢治の一番の理解者で、父に兄の進学を頼み、兄には物語を書くよう勧める。
宮沢清六<豊田裕大>
賢治の弟。
やりたい放題の兄を、それでも慕っている。商売の才を発揮し、兄の代わりに家業を守る。
宮沢イチ<坂井真紀>
賢治の母。
自由気ままな賢治と、賢治に翻弄される政次郎を陰で支える。賢治の父への本当の想いをわかっている。
宮沢喜助<田中泯>
賢治の祖父。
一代で質屋を築き、政次郎を厳しく育てる。偉丈夫な人物だったが、晩年は弱い心を見せる。
※引用元:公式HPより
感想
ただ父に褒められたかった、認めてほしかっただけ。父が子を思うからこそキツく強く言ってしまうところもあるけどそれは本当に愛しているから。さまざまな失敗はあれどいつからでも輝ける。
この変革の時代を切り開く新しいお父さん像
時代は明治、岩手県花巻市で質屋の長男として誕生した宮沢賢治と彼を支えた家族の物語は当時の「長男が家を継ぐ」という価値観から脱却した現代思想の先駆けのような家族像で、さまざまな失敗を繰り返しながら父に褒めて欲しい長男の感動する物語になっていました。
宮沢賢治の作品が現代まで読み継がれているのはこのような家屋のストーリーがあったんだなぁと初めて知りました。彼の作品自体は義務教育の中でほとんどの方が触れてくるところなのですが、彼の人生についてってのは調べた人しか知らない。 それをこのような映画作品で見られるってのは個人的にかなり嬉しかったです。
なんせ活字の本を読むのが大の苦手なので原作小説に手を伸ばすことがないし、そういう人はかなり多いのでは!?
しかし彼の父親がこんな人だったとは思ってなかったです。文学作品が好きな人とかは知っているかもしれませんが、賢治と父親は仲が悪いってのが結構有名らしい。
ただどこが本当でどこがフィクションかは定かではないのですがこれほど有名な彼の人生をフィクションで作り込むってのはないかなと。
予告を見て+タイトルから父親・政次郎に目線を引っ張っているのかと思いましたがそこまででもなく、賢治と半々か若干父側くらいなのかな(゚ω゚)
あの年代は喜助(おじいちゃん)の考え方が一般的ですし、政次郎さん自身も小学校卒業してすぐに家業に入っていますから賢治の進学を許したのも結構イレギュラー。進学に関してはトシの口がうまかったってのもありますがねw
これだけいろんなやらかしをしていたら勘当されちゃうかと思うけど父親すぎるが故に賢治を許してしまう。この優しい性格も“新しい父親”の一片だったんでしょう。
もちろん長男だから大切にしているっていうのもあるんでしょうが最終的に彼の文学を認めて読者になると言ったのは思い切った決断だったのでは!?
賢治が物語を書きそれを支えた父親の姿をメインには描いているものの本当の立役者は妹のトシがかなり大きかったのではないでしょうかね。彼女の病気を皮切りに筆を取るようになるっていうのは影響力の大きい存在だったと言えますね。
幼少期に物書きになるっていうのをトシと約束していたっていうのも火付け役なのかな。また読みたいと言ったからこそ彼女に対してしてやれるのがこれだと思ったんでしょうね。
なのでこの3人が今作のメインなのかなと。
こんなの泣いちゃうだろ( ;∀;)
予告で絶対涙する!みたいなテロップが挟まれており「そんなわけないやろぉ( ^ω^ )」とナメてかかったらしっかり泣かされましたねww ドラマ作品なのですごい盛り上がりはないにしろ当時治療法のなかった病気と向き合う姿は泣けてしまう。
昔の結核って特効薬もないし「それ本当か!?」みたいな治療法が出回ってたというのもあります。作中でもニコチンが効くからとトシにタバコを吸わせているというシーンがありましたね。
現代で考えればそんなことまぁないだろうとは分かりますがその情報がない時代で生きるのもかなり過酷ですよね。
今作の病気もですが最近の作品だと認知症について取り上げられたりもしており、そういうのでも泣いちゃうんですよね(・Д・) 涙腺が緩みすぎて自分でもちょっと引いちゃってるんですよね…。
賢治が書いた物語を久しぶりに聞きましたが、義務教育の時と大人になった時とで聞こえ方が違うってのもこの作品をよりよく見る事ができるのかなと。そういう感情を持つ事がかなり増えてきており自身の老いを感じておりますww
上でも書きましたがトシの存在がかなり大きくてそれを演じていた森七菜がめちゃくちゃいい仕事をしていましたね。認知症のおじいちゃんを引っ叩いて「綺麗に死ね!」って言ったとこはめちゃくちゃよかった!
あんなこと病人相手になかなかできないですよね。私も身内で認知症が出てきている人とかいますけど確かに“綺麗”には死ねないなって。あそこでも胸にグサってきました。
今回は彼女の演技力の成長がすごかったな。メインの役所広司さんも菅田将暉さんもすごくいい演技をしていましたが彼女はすごい成長していますね!これから出演する作品が楽しみです。
最後に
今回そこまで長く書くことはありませんでしたが、見て損はない仕上がりだったかなと。GW中の公開ということもあり多くの方が鑑賞しにきていましたがいろんなところから鼻を啜る音がww それだけ感動できるし、期待値の高かった作品なのでぜひ見にいって欲しいです。
やっぱ役所さん強すぎるなぁ(゚∀゚) どのシーン見てもグッと掴まれるし引き込まれるし。菅田くんとの共演も素晴らしかったですしね。柄本明さんくらい掴まれるんですよね。江本さんの掴み方はえげつないと思っているんですが、それに近い破壊力はあるのかなと。
ただストーリの中身自体は結構端折っているところが結構あるのでもとの知識は必要なのかなって感じますね。舞台となる花巻のこととか別邸が急に出てきたり、おそらく給仕担当の方が一緒に住んでいるのかな?宮沢家だけの構成ではないようなのでその辺りはよくわからないまま見終わってしまいました。
なので原作読んでから出ないと理解がしきれないってのはちょっと問題なのかな…。みんな彼の人生を見にきているようなものなのでその辺りの知識がない前提で説明とかはほしかったかもしれません。
とは言ってもそれなしで泣けてしまうので楽しめないかといえばそれはNOだと思います。それあった方がより楽しめるよねって話なので「ふぅーん、そうなんだ」くらいに思っていただければと(´ω`)
成島監督の次作にも期待したいですね。今度は何を映画化するのかな!?
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆★★3/5