
この世に生を受けたからにはいつか必ず別れが来るもの。子供の頃はあまり深く実感というか深く考えることがありませんでしたが、年齢を重ねることで「自分も近づいているんだな」とか考えちゃうようになりました。
自分の親が祖父母の喪主やったりしているのを見るとより「私もやる方になるのか!?( ゚д゚)」とか連想してました。大人になるとこんなことを思うのかw
と葬儀繋がりで今回鑑賞するのは葬儀の提案や進行を執り行う“葬祭プランナー”という職業のお話。葬祭プランナーという職業名をあまり聞いたことがないのですが、葬儀屋さんってことでいいのかな?
式の飾りのグレードだったりこのオプションを付ける付けないみたいな提案をするのかなと想像してます。
原作は小説だそうで、著者の長月天音さんの旦那さんが亡くなってからかきあげたんだとか。去年見た『兄を持ち運べるサイズに』は実話をもとにしていますが、今作も実体験をもとにしています。最近誰かが亡くなる系の作品をよく見るなぁ。
監督や脚本担当者も泣ける作品を手がけてきた人達だし、実際の葬儀屋さんとか納棺師の育成を行う学校の協力もありながらの撮影だったようですね。
人生の終わりから逃げることができない以上、より良いエンディングを迎えたいと誰しもが思うものでしょう。それを手助けしてくれるお仕事の作品になっているのかな。どういった終わり方をするのかも気になります。
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
2018年12月から単行本での販売が開始しシリーズ4弾まで販売、累計70万部を突破している『ほどなく、お別れです』シリーズの映画化。著者の長月氏は夫の5年にわたる闘病生活と亡くなってから2年の月日をかけ書き上げた小説とのこと。
就職活動で落ち続けている清水美空が葬祭プランナーの漆原と出会い葬儀会社のインターン生になることに。
日々誰かの葬儀に携わっていく中で漆原が遺族に寄り添う姿勢を見て、いつしか自身の憧れへと変わっていく。2人は「故人に納得してもらえる見送り」を目指し数々の葬儀と向き合っていく。
就活生の主人公:清水美空を演じるのは数々の映画・ドラマにひっぱりだこの浜辺美波が担当。葬祭プランナーの漆原を実写版『SAKAMOTO DAYS』の坂本を演じ、アイドルグループSnow Manとして活動している目黒蓮が演じる。
他には『シティーハンター』(24)、『ナイトフラワー』(25)の森田望智、数々の作品に出演してきた名バイプレイヤーの光石研、『東京アベンジャーズ』シリーズ(21〜23)で主人公:武道を演じた北村匠海、1月から放送開始のドラマ『未来のムスコ』の志田未来などが出演する。
たくさんのキャスト陣によってさまざまな家庭の「別れ」に立ち会う今作。私たちにどんなヒューマンドラマをみせてくれるのか!?
あらすじ
就職活動で連戦連敗を重ね、自身の居場所を見つけられずにいる清水美空。彼女には、《亡くなった人の声を聴くことができる》という誰にも打ち明けられない力があった。
そんな美空に、運命を変える出会いが訪れる。彼女の秘密に気付いた葬祭プランナーの漆原礼二に、「その能力を活かすべきだ」と、葬祭プランナーの道へと誘われたのだった。
導かれるように葬儀会社「坂東会館」のインターンとして漆原とタッグを組むことになった美空は、 一片の隙もなく冷酷とさえ思える彼の厳しい指導に心が折れそうになる。
しかし同時に、誰よりも真摯に故人と遺族に寄り添う漆原の姿勢に気付き、出棺の際に優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿に憧れを抱いていく。
やがて美空と漆原は様々な家族の葬儀に直面する。妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦、離れて暮らす最愛の人を看取れなかった男─。
それぞれが抱える深い喪失に触れる中で、 二人は「遺族だけでなく故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いに向き合い続ける。そして美空は、漆原の背中を追いかけるように葬祭プランナーを志すことを決心し、 漆原もまた、その姿に徐々に信頼感を覚えるようになる。
そんな中、常に冷静で完全無欠な漆原にも心を揺さぶられる過去があることを美空は知り…。自身にも、その不思議な力、そして家族との別れに向き合う時が訪れる。
「ほどなく、お別れです」に込められた、本当の意味とは――? そして、二人が届ける最期の《奇跡》とは―――
※引用元:公式HPより
キャスト<俳優名>
清水美空<浜辺美波>
”亡くなった人の声を聴くことができる”力を持つ。就職活動全敗で、自分の居場所を見つけられずにいたところ、葬祭プランナー・漆原礼二にその秘密を見抜かれ、「その能力を活かすべきだ」と背中を押される形で、葬祭プランナーの道へ。「坂東会館」にインターンとして就職し、漆原の指南のもと働き始める。教育係となった漆原からの厳しい指導の数々に、日々心をくじかれそうになる美空。「遺族だけでなく故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いを抱え続ける。彼の遺族や故人にとことん寄り添う心遣いや所作、そして出棺のときに優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿にいつしか憧れを抱くようになる。
漆原礼二<目黒蓮>
事故や事件死など、遺族にとって受け入れがたい葬儀を主に担当する葬祭プランナー。遺体を棺に納めるために、湯灌や死化粧、死装束への着替えなど、様々な処置を行う「納棺師」としての顔も持つ。遺族や故人に対しては誰よりも誠実で丁寧に接する一方、インターンとして入社した美空に対しては毒舌で人遣いが粗く、彼女を厳しく指導する。
赤坂陽子<森田望智>
「坂東会館」で美空、漆原と共に働く葬祭プランナー。美空の悩み相談に乗るなど、 頼りになる 一面をもつ。
坂東稔<光石研>
「坂東会館」の社長。いつも笑顔を絶やさず、 美空と漆原を温かく見守る。
柳沢玲子<古川琴音>
出産を目前に控えるなか歩道橋から転落し、お腹の子ともども命を落とす。
柳沢亮太<北村匠海>
出産直前の妻とお腹の中の子を事故で亡くし、現実を受け止めきれないまま葬儀を迎える喪主。
久保田理恵<志田未来>
5歳の娘・比奈を先天性心疾患で亡くした母親。病を治したい一心から辛い治療と入院生活を強いてしまい、楽しい思い出を作ってあげられなかったことを後悔している。
久保田宏之<渡邊圭祐>
理恵の夫。幼い娘を亡くし悲痛な思いを抱える中、悲しみに暮れる妻に寄り添い、懸命に支える。
長野桂子<野波麻帆>
女手一つで育ててきた21歳の息子と、20歳の娘を残して交通事故で亡くなる。
長野正史<原田泰造>
桂子の元夫。子供たちが幼い頃に、親友の連帯保証人として借金を背負うことになり、離婚。離れた土地で暮らす。
長野翔一<西垣匠>
桂子の息子。家族を置いて出て行った父親を恨んでおり、母親の葬儀への招待も拒む。
長野玲奈<久保史緒里>
桂子の娘。父親に母親の訃報を伝えるべきではないかと悩む。
清水佑司<鈴木浩介>
一人前の葬祭プランナーになるべく、日々奮闘する美空を見守る父。
清水美波<永作博美>
美空の母。佑司と共に美空を見守る。
清水花子<夏木マリ>
美空の良き理解者である祖母。葬祭プランナーとして働く中で悩む美空の背中をそっと押す。
※引用元:FashionPressより
感想
最初から最後まで泣ける一作。“死”に対する向き合い方を押し付けるようなことはなく、各遺族の背景に寄り添っているから素直に涙が出る。この系統だとやっぱ夏木マリさんの破壊力エグいけど永作さんがヤバい(´;ω;`)あと全部が綺麗
“送る側”視点だからこそ泣ける
病気、事故、寿命。人の亡くなり方も人それぞれでこの世に生まれたから絶対長生きして大往生するなんて保証はない。
十人十色というくらい性格なんかが異なるのだから亡くなり方も異なる。だからこそ亡くなった人やその遺族、関係者により良い形で最後の別れを手助けしてあげられたらいいな。といった作品になっていました。
一つの映画の中に複数のストーリーがオムニバス形式で映され、主人公の「死者が見える」能力を利用しながら最善の別れ方を提案していく。
“死”への向き合い方をメインにしているのでいわゆる『お涙頂戴』なんだけど音楽を過度に使うタイプじゃないからシンプルにうるっときました。
こういう系統の作品はあからさまに泣かせにきてるのを感じてしまうと逆に泣かないって方もいふことでしょう。
わかりますよ!( ˘ω˘ )
私もそっちの系譜なので宣伝で「泣ける!」って言われても刺さらないことが数多く、今までどれだけの泣ける作品で泣けなかったことか…。
今作は音楽が少なく故人を送り出す側からの目線で作品を描いているからより見ているこちらにも共感しやすく刺さりやすいのかなと。
主人公が葬祭プランナーなので故人や遺族に寄り添う前提なんです。そして死という悲しいもので気持ちを落とすのではなく、故人との向き合い方やこれからどう生きるのかといったテーマを現実と同じスピードで描くからこそ良かったです。
現実でも誰かが亡くなればすぐに葬儀場・火葬場の手配をしたり、故人の友人や他の遺族に連絡をしたりと悲しむ暇なんて与えてくれないほど。だいたい1週間の間に別れを済まさないといけないんですから多くの人が気持ちを落とし込められないまま時間が進む。
葬祭プランナー視点なので遺族のそういった姿は見えないけどホワイトボードに数十分刻みで多くの葬儀予定と段取りが書かれているのを見ると慌ただしさを実感します。
その慌ただしさと「あれやってれば良かったな」みたいな故人への後悔なんかも描かれていて、それが大袈裟ではなく静かな映像の中に映されているのでより悲しみの重さを実感することができます。
志田未来&渡邊圭祐が夫婦役で子供が病死した際には「病室という檻の中で苦痛を与え続けてしまった」と楽しいことをさせてあげられなかったんじゃないか?と後悔する場面があります。
まだ小さい我が子の死を目の当たりにしたら気持ちの整理はできない、だけど時間は刻一刻と過ぎ別れが訪れる。その間になんとか気持ちの折り合いを手助けできるように漆原と美空が寄り添うのが前半部分ではかなり良かったと感じます。
後半になると美空の祖母が心臓の持病で弱っていき、葬儀場で見てきた遺族側に立つことに。
そう、送る手助けをしている側でも生きていればどこかのタイミングでそっち側に立つ時が来るわけです。そして故人が生きている間の時間がどれだけ大切なのかをわかっている漆原が美空の背中を押すわけです。
亡くなった後の時間が解決してくれるのではなくその前にやれることがあるし、やれなかったとしても葬儀という場で届けることができるものがある話ですね。
「ほどなく」という言葉
タイトルとして使用され、予告では目黒蓮さんが演じる漆原が何度も口にする言葉。最初は「もう別れが来てしまった」といった感覚で捉えられ、そんなに難しく考えずに聞いていました。
それがストーリーが進んでいくにつれ故人との別れだけでなく生き続ける自分たちに対しての言葉に変わっていきます。
この言葉の意味というか捉え方を教えてくれたのが美空の祖母演じる夏木マリさんだったんですが、個人的にそれを実感させてくれるのは漆原の落ち着きながらも支える優しい言い方ではないでしょうか。
タイトルとして使っているので作中に絡めては来るだろうと思っていました。予告でも登場していましたから逆になければおかしいですよね( ^∀^)
だけど作品によってはタイトルと中身にギャップを感じて「なんでこのタイトルに!?」みたいなのもあったりしますが、今作はちゃんとタイトルに沿った作品になっていましたし違った捉え方もできるというダブルミーニングなところもかなり良くできていました。
葬儀をしてあっという間に別れのタイミングになってしまう、だけれどもそれはずっと会えないわけではなく「あっち側」でまた会うまでのちょっと会わない時間なんです。
「もう別れになる」と「ちょっと会えないだけ」とでは見送るこっちの気持ち的にもだいぶ違いますよね。言葉もですが物事の捉え方1つで自身の気持ちが沈みもするし明るくもなる。ならいい方に考えたほうがいいと思う人が多いんじゃないかなって。
最後に
「死」というシリアスなテーマですし、高齢化社会が問題視されている現代だからこそこういった場面に出くわす機会も多くなりそう。大人になってから人の死に目に遭うと子供の時に感じなかったものが急に出てきたりもしますし、それから逃げることもできないから受け止めるしかできない。
なかなか考える機会のないことを映画を通して見つめ・考えることができる作品に仕上がっていたのではないでしょうか( ;∀;)
専門の学校が協力していたのもあってか漆原の納棺師としての仕事ぶりがめっちゃ綺麗でした!専門知識があるわけじゃないので業界的にどうなのかは定かではありませんが、故人への姿勢、動き、その場の空気感がうまく出ていたと感じます。
終始ブレないままキャラクターを貫き通していましたし、化粧や死装束に着替える場面は緊張感半端ない。日本に生きる以上関わることですから蔑ろにはできません。
あと夏木マリさんと永作博美さんのラストシーンはマジでヤバい。
永作さんはわざとじゃないと分かっていながらも長女の死のきっかけとなった義母への母親としての気持ちとそんな気持ちを持ってしまっている自分への気持ち。夏木さんは目の前で孫を失った気持ちと息子夫婦から宝を奪った気持ち。
これが解決しないまま夏木マリさん演じる祖母の死で掘り起こされたのは胸がキューってなりましたね。最後にエグいの持ってきたな!ってなりました。
全部が違った題材の死が描かれているので作品に集中できましたし、2時間の中にあれだけの家族を盛り込めたのはすごいんじゃないかと。
登場人物が多いけど1つの家族が同じくらいの時間で描かれるので比重の違和感もなく、それに加えて漆原の話も入ってきたので良かったです。全員が誰かしらの「死」を背負って生きているんですね。
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆☆★4/5

