ゴーヤの気ままに映画

見たい作品がある時に書いているので定期更新ではありませんが大体月に2,3本は新作鑑賞して投稿しています!文章は苦手なので下手なのはご容赦ください。評価は甘口カレーくらいの甘さ( ^ω^ )

映画『ミッシング』あらすじ・感想・ちょっとネタバレ “心”はどこへ…

 

 皆さんは“missing(ミッシング)”という単語をご存知でしょうか?失敗したりした際に「ミスした」なんて言いますが日常的にも結構馴染みのある単語の“miss”。

 それに現在進行形のingがくっつくと「行方不明」という意味に変わるんです。他にも「欠ける」なんて意味もありますが日本では行方不明になってしまった子供のことを「ミッシングチルドレン」と言っています。

 

 現代でも9歳以下の子供が迷子や家出といった理由でいなくなるケースが結構あって、年間で約1000人くらいが一時的に行方がわからなくなってしまっているそう。ほとんどは無事に発見されて家に帰ることができているようですが中には何年も会うことができなくなってしまったパターンもあります。

 

 国際問題にもなっている北朝鮮の拉致や他国では人身売買で子供が標的になったりしています。中国なんかはSNSで動画が出回ったりしていますよね(゚ω゚)

 

 今作は愛する我が子が突然失踪してしまい、子供の両親が探し続ける中での苦しみや葛藤、現代でよくあるSNSなどで周りから批判や指摘される姿を描いています。

 ただ我が子に会いたいだけ。それだけなのに多くの苦しみを体感する夫婦の先には何があるのか?当事者だけでなくマスコミやSNSに投稿をする人達にも注目してみたい作品です!

 

 さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و

 

 

作品情報

 日本でも年間1000件の捜索願が出されている“ミッシングチルドレン”を題材にした作品で、過去に同タイトルで同じような設定のものが世界で複数公開されている。

 

 娘が失踪してしまい懸命に探す夫婦だが、夫婦喧嘩、視聴率を求めるマスコミ報道、SNSでの誹謗中傷などの影響でどんどんと“心”を失っていく母親・沙織。ただ会いたいという一心で周りに助けを求め続ける母親を中心に描く。

 

 母親の沙織役には多くのテレビドラマや映画作品に出演し、自身も2022年に第一子を出産した石原さとみが担当。本人は「母親になった今だからこそ、この役と向き合えた」と語っています。

 沙織の夫・豊役にはテレビドラマ『龍馬伝』(10)や映画『るろうに剣心』シリーズ、『ゴジラ-1.0』(24)などの青木崇高が出演。他に中村倫也小野花梨森優作細川岳が脇を固めている。

 

 監督には2006年に自主制作映画『なま夏』(06)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞し、以降『犬猿』(18)、『空白』(21)や漫画原作の『銀の匙 Silver Spoon』(14)、『ヒメアノ〜ル』(16)などを手掛けてきた𠮷田恵輔が担当。

 

 自分の子供がいなくなった悲しみの上に視聴率を優先するマスコミと現代社会の誹謗中傷が重なることでどのような作品に仕上がるのかが注目の作品です!(゚ω゚)

犬猿

犬猿

  • 窪田正孝
Amazon

 

 

あらすじ

 とある街で起きた幼女の失踪事件。

 あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。

 

 娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。

 

 唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。

 

 そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。

 世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。

 

 一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。

 それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。

 

 その先にある、光に—

 

※引用元:公式HPより


www.youtube.com

 

 

キャラクター<俳優名

沙織<石原さとみ

娘を持つ母親。娘が突如失踪してしまい、情報の荒波に巻き込まれる。娘が行方不明になった当時、好きなアイドルのライブに足を運んでいたことや、茶髪を入れた髪型ゆえにネット上で「ライブ狂いで育児放棄の母」という誹謗中傷を受ける。有力な情報がないまま時間が過ぎていくも、夫との温度差やマスコミの態度に翻弄され、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるようになるほど、心を失くしていく。

 

豊<青木崇高

沙織里の夫。一歩引いて事件に向き合っており、妻との温度差から夫婦喧嘩が絶えなくなる。

 

圭吾<森優作

何を考えているのか分からない沙織里の弟。美羽が失踪する直前まで一緒にいたことと挙動不審な言動から誘拐犯の疑いをかけられ、世間の好奇の目に晒される。ミキサー車の運転手として働いている。

 

砂田<中村倫也

地元テレビ局の記者。娘が失踪した家族の取材を真摯に続ける。しかし、局上層部の意向で視聴率獲得の為に、世間の関心を煽るような取材の指示が下る。

 

三谷<小野花梨

新人記者。キー局を受けるも全滅し、ローカル局に入社。

 

不破<細川岳

カメラマン。飄々とした態度で取材中も緊張感がない。「撮影する側の立場」として、時に砂田に意見する場面も。

 

※引用元:FP(FASHION-PRESS)より

 

 

感想

娘がいなくなったことで些細なことにも過敏に反応してしまう母親の変化とそれを取り上げるメディア関係者が見せる葛藤を描く作品。捉え方一つで相手を救うことも殺してしまうこともできる瀬戸際を細かく描きどう未来へ進んでいくのかを考えさせられる内容でした!(´ω`)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっと胸が詰まる思い

 娘が失踪してしまい我が子を探す夫婦を描いた今作。予告から結構ヘビーな内容になりそうだなと思っていました。配給会社のスターサンズの作品自体が割と重い内容を取り扱っている印象があり、ちょうど1年くらい前に公開された『ヴィレッジ』なんかは衝撃的なものでした。

 今作『ミッシング』も見る前から我が子を失った苦しい感情を全面に出してくると思っていましたが、現代社会で起きる問題も重なってより重さを増しているものに仕上がってました(゚ω゚)

 

 初っ端から娘が失踪したことで落ち着きのない母親・沙織、失踪した娘を見つける可能性を広げるためにテレビの報道を使って尽力する局員の砂田。それぞれが心の中で思っていることとそれが全て叶えられない現実を描く。本人達だけでなく周りの人達の“意識”が見えてくる。

 

 メインである沙織が娘の失踪で余裕がなくなっていくのを主軸に「見つけるためには」「どこかから情報を探さないと」みたいな方向に気持ちをシフトしていくかなと思ったら、報道関係者側にいる砂田自身も「何が正しいのか」という面に苦しめられる内容になっています。

 沙織だけでなく登場する人物全員が「娘の失踪」をトリガーにどんどん心が歪んでいってしまうんです。その歪んでいく姿をフォーカスするので“娘の美羽ちゃんは無事に発見されるのか!?」ってのは最後まで引っ張ってはいくもののそこからどう抜け出して歩いていくのかってのがメインだったりします。

 

 沙織は駅前でビラを配って情報提供をお願いしたり、地方局の砂田に取材をしてもらって周辺地域に知ってもらおうと躍起になり見てて痛々しいところが多々あります。夫の豊は表面上は「落ち着いている」というか「落ち着きすぎなくらい」に見えて沙織自身もそんな豊と娘を探す本気度に差があると感じて何度か衝突する場面も。

 そんな夫婦間の空気や娘を探すために外で「それはやばいだろ」みたいな行動をとってしまう沙織の姿がこの作品の雰囲気を作り出していていい意味でこっちの余裕がなくなります(´ω`)

 

 沙織はネットへの中毒もすごくて、見なきゃいいのになぜか見ちゃうという典型的なネット中毒になってしまいます。娘が失踪した当時好きなアーティストグループのライブに行ってたことや弟の圭吾についての誹謗中傷がたくさん書き込まれて余計にストレスが溜まっていく。

 豊は「見なきゃいいのに」と優しく諭そうとするんですが分かっていてもやめられない状況になって体調を崩したり頭皮にハゲができちゃったりと身体にまで影響が出てきます。この「見なくていいのに見ちゃう」という中毒からもどう抜け出すのかが彼女がどう歩みを進めていくのかに繋がってきたりします。

 

 私もSNSは普段から使用しますし多くの人が使っているものです。街中では歩きながら閲覧している人もいっぱいいたり、現政治について書き込みをされる方もいたり。

 人によってはこれってなんでやるの!?みたいに思うかもしれませんが日々のストレスなんかが少し腫れるような感覚があったりして救われる人もいるんですよね。

 

 ただ今作のように言葉をぶつけた先の誰かを傷つける凶器にもなってしまう怖い存在。そういった面もこの作品で感じることができるかと思います。別に他の作品でもSNSの危険性を盛り込んだものはありますが現実でも同じような内容で訴訟が起こっていたりしますから“意識”を持たせてくれるってところはいいかなと。

 

 そして思っていたよりも追い込まれていくのがテレビ局員の砂田。真実を報道することを強調している彼が沙織の取材をしていく中で「テレビとはなんなのか」って壁にぶつかっていきます。

 テレビ局もあくまで利益を出さないといけないため砂田がしたいことと違う部分を上司が盛り込むように要求してきます。ずっと母親の沙織を撮し続けても飽きられちゃいますからね。

 

 ただ砂田は報道の内容が上層で採用されたものになったり沙織や豊への誹謗中傷になりかねないものになったりすることで苦しんでいきます。仕事に慣れていない後輩の苦悩や沙織を気遣わない報道構成をする上司を目にしてかなり削られます。

 圭吾に取材した時車内から何か喋っている怖い描写がありましたが、砂田も上司に放送内容を改めるよう相談した際に同じように口だけがめちゃくちゃ動いている姿が出てきました。昔いじめられていた圭吾のように精神的にキテいるってことを表現していたのかなと。

 

 それだけじゃなくて報道ネタで表彰された後輩を目の前にして自身がやっているネタの弱さにも悩まされます。口では競っているつもりはないと言っていますが評価もそこまで上がらないことを考えると政治家の汚職や不倫みたいな視聴者が食いついてくるものをやりたい。

 だけど失踪した美羽ちゃんを見つけるために局員として力を貸してあげたいってことに挟まれて悩んでしまいます。沙織の方を切ってしまえば少しは楽になるんでしょうが彼の良心がそれをさせなかったんですね。どれだけ心を殺して報道ネタを探すってのが結構リアルで痛々しい。

 

 途中から「美羽ちゃんが見つかる」につながる報道から路線変更されて行ってカメラマンからも砂田がどこを目指しているのかを聞かれてしまう始末。私は予告からここまでの予想は出てなかったですがここも砂田の心情がどうなっていくのかの分岐となってました。

 

 弟の圭吾もある行為でテレビのネタとして使われてしまうんですがこれも可哀想。やってることは悪いことだけど美羽ちゃんの失踪と絡めてよりダメージがデカくなるようになってて悪質なんですよね。マスコミの悪質さがめっちゃ出てます。

 彼自身幼少期に怖い思いをしたりいじめを受けていたりして精神的に脆くなっているんですよ。普段の生活でもストレスがかかると癇癪を起こすようなタイプで不良に絡まれた時も買った商品を落としてその場を去ってしまうくらい殻に篭っちゃうんですよね。

 

 登場人物達がどんな苦しみを持っているのかってのが時間が経つごとに公開されて行ってそれを知ることで一部救われたり。かなり作り込まれた構成かなと感じました。

 

 

最後に

 後半に主要人物達の苦悩を出すことである程度の“救い”を持ってきて最後救われなかったって状況は作らなかった…ただ失踪した娘が見つかってハッピーエンドにはしなかったですね。

 

 価値観というか感覚をつくようなシーンもありましたね。警察署から美羽が保護されたという連絡が来たけどイタズラだったってシーンで刑事が砂田に報道についてつっこんでいます。

 砂田に「事実だから面白い」と言いますが、昔からこれに対する視聴者の気持ちって“面白い”ままなんですがSNSの普及で誰もがどこにいてもさまざまな場所の情報を得ることができるようになり加害者が多くなってしまったのかなと。

 

 こういった苦しみとどう向き合うか、自分自身がどう足を踏み出して進んでいくのかを考えさせられる作品だったと感じます。時間は待ってくれないし日々はどんどん過ぎていくわけです。

 余裕がなく他人に優しくする機会が少なくなった現代人が“優しさ”を取り戻すこともできるんですかね。息苦しい社会の中で何に光を見出すのか…。

 

 たまに入るカメラマンのちゃかしはちょっとイラってしちゃいましたwああいうデリカシーないタイプいますよね。そこがよりリアルを感じます。こういう張り詰めた作品もたまにはいいですね!

 

 ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ

 評価 ☆☆☆★★3/5