過去多くの戦争が繰り広げられ今の国数になりました。すごい昔は日本国内で戦をして領地を拡大していきましたが、規模は世界に広がっていき日本は小さい島国ながらアメリカやヨーロッパとも戦ってきました。
そうやっていろんな国が世界中で争いを続けてましたが勝つために新しい兵器が随時生み出されてきました。その中でも有名なのはダイナマイトの元であるニトログリセリンを生んだノーベルや今作のオッペンハイマーではないでしょうか?
日本人としてはオッペンハイマーという人物の存在で多くの犠牲を払うことになるので因縁?というか忘れることのできない人ではないかと思います。
そんな彼の生涯を描いた伝記映画が今作。彼の研究によって世界を変えてしまったことや本人が栄光を掴み没落してしまう姿を描いていきます。
生み出された産物は現代も存在し続けていますし、これからどう付き合っていくのかってところも考えさせられる作品になるのではないでしょうか…(´ω`)
アメリカでは先立って公開され早々に多くの人が鑑賞したりゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞で多くの賞を獲得したものがどのような内容になっているのか注目です!
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
アメリカの雑誌や文学に授与されるピューリッツァー賞を受賞した『オッペンハイマー』を原作とした伝記映画作品。アインシュタインと共にアメリカのプリンストン高等研究所で研究をしていた人物です。
第二次世界大戦下にアメリカで立ち上がった極秘計画「マンハッタン計画」に参加し、世界で初となる原子爆弾の開発過程を描く。開発に成功し栄光を手にするが実戦で使用された際の惨状を聞き深い苦悩を抱えることに…。今もなお残る核兵器について問いかける。
本作の監督は『インセプション』(10)、『インターステラー』(14)、『ダンケルク』(17)、『TENET テネット』(20)など多くの話題作を製作し、アカデミー賞にて監督、脚本、撮影、視覚効果、編集といった多くの項目で受賞した経験のあるクリストファー・ノーランが指揮を取る。
キャストは『バットマン』シリーズ(05〜)、『インセプション』(10)、『ダンケルク』(17)など複数のクリストファー・ノーラン作品に出演してきたキリアン・マーフィー、『プラダを着た悪魔』(06)、『イントゥ・ザ・ウッズ』(14)、『メリー・ポピンズ リターンズ』(18)のエミリー・ブラント、『インターステラー』(14)、『オデッセイ』(15)のマット・デイモン、『アイアンマン』シリーズ(08〜)、『アベンジャーズ』シリーズ(12〜)や『シャーロック・ホームズ』(10)のロバート・ダウニー・Jr.などが出演する。
アメリカの激動と世界に影響力を与え変えてしまった創造物についての作品ですが、日本にも大きなきっかけを与えていますからどのように時代が動いていったのか…。
あらすじ
第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。
冷戦、赤狩りー激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだったー。世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落、その生涯とは。
今を生きる私たちに、物語は問いかける。
※引用元:公式HPより
キャラクター<俳優名>
J・ロバート・オッペンハイマー<キリアン・マーフィー>
アメリカの天才理論物理学者。第二次世界大戦中、「マンハッタン計画」を主導。
キティ・オッペンハイマー<エミリー・ブラント>
ロバート・オッペンハイマーの妻。生物学者で植物学者。
レズリー・グローヴス<マット・デイモン>
アメリカ陸軍工兵隊の将校。政府の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」を指揮し、オッペンハイマーに白羽の矢を立てる。
ルイス・ストローズ<ロバート・ダウニー・Jr.>
アメリカ原子力委員会の委員長でアメリカ海軍少将。頑固で野心に満ちた人物で、やがて水爆実験をめぐってオッペンハイマーと対立を深めていく。
ジーン・タトロック<フローレンス・ピュー>
精神科医で共産党員。オッペンハイマーがカリフォルニア大学バークレー校で物理学の教授をしていた1936年に出会い恋仲になる。
アーネスト・ローレンス<ジョシュ・ハートネット>
アメリカの核物理学者で発明家。カリフォルニア大学バークレー校の物理学教授でオッペンハイマーの同僚であり友人。
ボリス・パッシュ<ケイシー・アフレック>
アメリカ陸軍の防諜部将校。
デヴィッド・L・ヒル<ラミ・マレック>
イタリアの物理学者エンリコ・フェイミの助手。フェルミと共にマンハッタン計画にも参加するが、のちに日本への原爆使用に反対する請願書に署名する。
ニールス・ボーア<ケネス・ブラナー>
量子論を展開したデンマークの理論物理学者。1922年にノーベル物理学者を受賞。オッペンハイマーがケンブリッジ大学で出会う心の師。
フランク・オッペンハイマー<ディラン・アーノルド>
ロバートの弟で、放射線研究のバックグラウンドを持つ素粒子物理学者。マンハッタン計画に参加し、トリニティ実験用の機器の開発に取り込む。
イジドール・ラビ<デヴィッド・クラムホルツ>
アメリカの物理学者でオッペンハイマーの友人。
ヴァネヴァー・ブッシュ<マシュー・モディーン>
技師で発明家。軍事目的の科学研究を担った米国科学研究開発局のトップとして、極秘マンハッタン計画の初期段階を率いた。
ハーコン・シュヴァリエ<ジェファーソン・ホール>
作家、ロマンス語の大学教授。互いが教鞭を取っていたカリフォルニア大学バークレー校にて出会い、オッペンハイマーの近しい友人となる。
エドワード・テラー<ベニー・サフディ>
理論物理学者。滑稽で気まぐれなマンハッタン計画のオリジナルメンバー。
ウィリアム・ボーデン<デヴィッド・ダストマルチャン>
連邦議会原子力合同委員会の元事務局長。
アルベルト・アインシュタイン<トム・コンティ>
ノーベル賞受賞物理学者。オッペンハイマーとはプリンストン高等研究所の同僚だった。
※引用元:公式HPより
感想
オッペンハイマーが栄光を掴み没落していくまでを描いた伝記作品。登場人物が多く後半から人間関係の結びつきを追うのが割と大変で内容も人間の裏表といった複雑な部分が追加されるので予備知識を持って見た方がいい…
3時間の尺でもけっこう厳しいか(´ω`)
今でも賛否が分かれる兵器“核爆弾”。1900年代に起きた第二次世界大戦で使用され我々日本人にとっては切り離すことのできない存在だ。
その兵器を一番最初に作った人物:ロバート・オッペンハイマーの人生を描いた作品だったわけですが、3時間の長尺でも全てを伝えるのには足りていないと個人的に感じました。
1人の人生を3時間にギュッてするだけでも難しいのに生み出したものに対しての歓喜や苦悩を突っ込むとなると製作するのはまぁ大変なわけです。それだけでなく国家が水爆実験を追加してきたことには反対しているので「原爆作った人物が水爆は反対する」という矛盾についても書き込まなければならないっていうかなり高い難易度。
それを『ダンケルク』みたいな戦争ものを制作したことのある巨匠:クリストファー・ノーランに依頼が来たわけです。
正直な感想を言うと、「とてもこれだけじゃ語りきれないよ」とまず感じました。海外の人と違って原爆への見方も違うし、それを作った後に自身が何をしたのかを理解する苦しさなんかもあるのでこれを原爆の歴史がある日本人以外が見てわかるのか!?ってのも含めてホントはもっと詰め込みたいよねって感想です。
ただ歴史を少し頭に入れて見てみると見え方がかなり変わってくるのかなと。私は前知識なしで、と言うか歴史って苦手なので覚えられなくて見に行ったんですが、登場人物について知ってから振り返ると表情や感じ方が変わってきたんですよ。
なので予備知識の有無で見え方が変わってくる作品ですので感想が極端に分かれてしまいそうですね!
ストーリーの展開も特殊で最初にスパイ容疑をかけられたオッペンハイマーが聴聞会で数人から質問攻めされているところから始まります。時系列で言えば原爆は作り終えた後ですね。
今までの研究でどういったことが起きたのかを遡って見ていくといった構成になってます。その流れの中でロバート・ダウニー・Jr.が公聴会をしている映像も挟まっています。
場面が変わったことを目でわかるように色で識別できるようになっているのもノーラン監督らしさかなと。 「オッペンハイマーの聴聞会」と「原爆を作るまで」、「ルイス・ストローズの公聴会」がぐるぐると変わっていくため私は疲れちゃいましたw
入れ替わりが激しい分中身自体はシンプルにまとめて理解が追いつくように作られているのかなと。事前知識あればもっとわかるよって感覚です。
とはいえシーンによっては説明が欲しいなと感じるところでも時間の都合など?でなかったりするので「心情は考えてください」みたいなところは良くも悪くもなのかな。ノーラン監督ってそういうとこあるからな。
そういったわかりにくいものもあるので予備知識をつけておくことはマジでオススメします!( *`ω´)
未知への挑戦と代償
オッペンハイマーは「原爆の父」と言われるように作成した第一人者なわけですが、誰かを殺したいみたいな感情を持って作成したわけではないんですよね。
知識を追い求めて大学に行ったりいろんな国の活躍する頭のいい人たちに会いに行ったりと、知識欲に溺れた人物なんですよね。
そんな彼が爆弾を作ることになったのもナチスと対抗するアメリカのためを思ってのことなんですよね。アメリカが作っていなければドイツ(ナチス)が作るかもしれなかったし、ドイツへの牽制の意味もあります。
長きにわたる研究が完成し1945年7月16日に初の核実験「トリニティ」が実行されます。それまでは小さい規模のものでデータを取り、このくらいの破壊力と規模になる推定で作成していたためオッペンハイマー自身も結果がどう転ぶのかはわかりませんでした。
実験は成功し破壊力はオッペンハイマーが想像していた範囲のもので研究者たちは大喜びです。国家計画が成功したわけですからね。
ただここから彼の悲劇の幕開けとなってしまいます…。
作成された爆弾は同年8月に広島と長崎に投下され全体で15〜20万人を超える死者を生んでしまいます。爆発だけでなくその後訪れる副産物も死亡する要因となってしまいます。いわゆる「黒い雨」と放射線などですね。
助かったとしても長くて数周で絶命してしまうほどの被害を被りました。オッペンハイマーは実験が成功した代償に多くの命を殺した責任がのしかかってきたわけです。
その後、西側諸国で盛んに行われた“赤狩り”(共産主義者を排除)の対象に巻き込まれてしまいます。原因はいろいろですが彼の周りにいる人物の多くが共産党と繋がりがあったため「ソ連のスパイではないのか?」と疑いをかけられてしまいます。 それにより冒頭から描かれる聴聞会で今まで経歴を確認されていたわけですね。
あの聴聞会もストローズの“コンプレックス”が原因でオッペンハイマーを陥れようと計画されたものだったんですよね。
ストローズは公聴会で「長官」に相応しいかを審議されていましたがその過程で「オッペンハイマーをなぜ危険視したのか?」が問われていました。
この質問に対してストローズは怒りをあらわにしていましたが、彼は「公聴会は簡単な質問で終わり長官になれる」と思っていたわけです。
核開発研究の関係者でもあったため経歴や政策、思想などの部分が長官に相応しいのかを見られていましたが「オッペンハイマーが核や水爆を推し進めた」として自身は何も人道に反する考えは持っていないと主張しようとしたんですね。(私の解釈があっているかは…)
この罠によってオッペンハイマーが閲覧していた機密情報へのアクセスキーを取消にするかを決議していたわけですが、これを閲覧できないと研究が進められず仕事ができないわけです。
事実上のクビ宣告のようなものですよね。これまで築きあげてきたキャリアを無実の罪で失いそうになってしまうわけですから。
国のために頑張っただけなのにストローズのいい隠れ蓑にされて心もズタズタ。妻は最後まで戦うことを彼に言いますがなかなか火がつかないんですよね。学生時代のホームシックもですが割とメンタル弱めな方なんです。
伝記映画なので落ちていく内容があるのはあるあるですが、彼の栄光がこのように崩れていったことは歴史上の事実ですからかなりショッキング…( ;∀;)
最後に
上映冒頭にギリシャ神話のプロメテウスの話がありますが、これは「何かしらのきっかけを与えた」という点がオッペンハイマーと被るから使われた表現。
プロメテウスがゼウスの反対を押し切り天界の火を人間に与えたことで文明が発展していったとされています。彼が人間を創造したとかもいわれていますね。
オッペンハイマーも「核爆弾」というものを創造したことで人類社会に大きな影響をもたらしました。現代では第二次世界大戦は終息したものの核の問題は持続しており日本も自衛のために持つか持たざるかなどの話も出ているくらい。
プロメテウスがゼウスに罰せられたようにオッペンハイマーも核爆弾を製作した代償を背負うことになったので重ねて表現していますが、どの科学者もこの想像と破壊のジレンマを抱えているんですね。 日本でも人知れずこのジレンマによって多くの科学者が苦しんでいることでしょう。
知識を探求するために得る恩恵とそれに付随する危険を考えて作品を鑑賞されるとしっくりくるかも知れませんね。
今後核によって世界はどう変わっていくのか!?時間が流れれば新しい技術が生まれ人類が発展していくのと同時に、兵器も進化を遂げ世界に危険を招く可能性もある。
未来を作っていく我々はどうあるべきなのか?を問うてくる一作だったと思います!
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ
評価 ☆☆☆☆★4/5