昨年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)のオープニングを飾り大きな話題を呼んだ『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がついに日本にやってきましたぁ!!
最近マーベルシリーズなんかでもマルチバースの物語がデフォルトとなってきているわけですが、その設定を平凡なおばちゃんが主人公の作品に起用し、かなりカオスな「異次元アクション映画」となっている今作。
2月18日(ロサンゼルス時間)に米美術監督組合(ADG)の会員が選ぶ第27回ADG授賞式のファンタジー映画部門で受賞をしたり、第80回ゴールデン・グローブ賞でノミネート&受賞をした期待作となっています!!
主演のミシェル・ウーはいろんな作品で見ますよね!最近見たのだとマーベルの『シャン・チー』かな。私の中で一番見ている中国系の俳優さんかな!?あっ、ベネディクト・ウォンも見てるんで同じくらいかな? ていうか2人とも出身は中国じゃないんですけどねww
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
2022年3月にSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)で公開され、本年度アカデミー賞で10部門11ノミネートを記録した超注目作品である今作!他にもさまざまな賞レースを駆け巡っておりアカデミー賞最有力と言われております。
昨今アメコミ作品で定番となっているマルチバースの設定とカンフーを掛け合わせ、製作会社のA24が作る近代“カオス”はどんな仕上がりになっているのでしょうか?!
製作にはダニエル・ラドクリフ主演の『スイス・アーミーマン』のダニエルズが監督・脚本を担当し、『アベンジャーズ』シリーズで数々の作品を担当してきたルッソ兄弟が製作に参加をする。
この兄弟が参加することでマルチバースの世界をより面白く再現することができるでしょう!!
正直予告を見てもどんな展開になるのか検討もつかないし、どんなエンディングが来るのかも…(゚∀゚)ドウナルンダ
ただ製作陣、俳優陣はかなりクセあり粒揃い衆なので見ていて飽きなさそうな予感はしています。
というかコレだけ賞にノミネートもされてたら期待が高まるのもやむなし。マルチバース設定も玄人のルッソ兄弟がいるから安心して見られそうですね!!
あらすじ
経営するコインランドリーの税金問題、父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、盛りだくさんのトラブルを抱えたエヴリン。
そんな中、夫に乗り移った“別の宇宙の夫”から、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と世界の命運を託される。
まさかと驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバースにジャンプ!カンフーの達人の“別の宇宙のエヴリン”の力を得て、闘いに挑むのだが、なんと、巨悪の正体は娘のジョイだった…!
監督情報
今作の監督はダニエル・クワンとダニエル・シャイナート兄弟。
ミュージックビデオ、CM、短編映画から映画、TV番組の脚本などを手掛けてきた人物。さまざまなアーティストのMVを担当してきたがインディーポップバンドのフォスター・ザ・ピープルやフランスのDJスネークなどが有名ではないでしょうか!?( ´∀`)
2016年に公開された映画『スイス・アーミーマン』はかなりパンチのある映画となっており話題を呼びました。同年に開催されたサンダンス映画祭で米国ドラマ映画部門最優秀監督賞を受賞。
第49回シッチェス・カタロニア国際映画祭で主演男優賞と作品賞を獲得したが公開された時はあまりにも奇抜な内容に意見が結構割れてしまいました(・Д・)
そんなパンチのある作風が特徴的な監督ですが今作の評価のされ方がエグいんですよね!ぶっちゃけ『スイス・アーミーマン』は時代が追いついてなかった感が否めなかったのでやっと2人の作品に時代が追いついたかなって感じですw
2022年に発売した雑誌『タイム』では「次の100人」に選ばれたのもあってコレからがかなり楽しみになっています!
キャスト<役名>
ミシェル・ヨー<エヴリン・ワン>
1962年、マレーシア生まれ。アジアで最も成功している偉大な女優の一人として知られる。ジャッキー・チェン主演の『ポリス・ストーリー3』(92)などで、香港を代表するアクションスターとなる。
1997年、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』でハリウッドデビューを果たす。その後は国際的に活躍し、アン・リー監督の『グリーン・デスティニー』(00)、ロブ・マーシャル監督の『SAYURI』(05)、ダニー・ボイル監督の『サンシャイン 2057』(07)、ノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーに扮した『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(11)、全米で大ヒットを記録した『クレイジー・リッチ!』(18)、マーベル作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)、『ガンパウダー・ミルクシェイク』(21)などに出演する。今後もジェームズ・キャメロン監督の『アバター』の続編『AVATAR 3』(24)などの公開が控えている。
キー・ホイ・クァン<ウェイモンド・ワン>
1971年、ベトナム生まれ。両親は中国人移民。ベトナム戦争後の混乱から逃れて、1979年からロサンゼルスのチャイナタウンで暮らす。そこで、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)でハリソン・フォードと共演する中国人少年のオーディションが行われ、見事に抜擢される。
続く『グーニーズ』(85)で一躍人気子役となり、『キー・ホイ・クァンのドロボーズ』(86)、『パッセンジャー 過ぎ去りし日々』(87)、『炎のマーシャルアーツ』(90)、『原始のマン』(92)などに出演。その後、俳優業を休止し南カリフォルニア大学に進学。卒業後、『X-メン』(00)の武術指導アシスタントや、『2046』(04)の助監督を務める。そして再び原点に戻ることを決意、本作のオーディションを受ける。
ジェイミー・リー・カーティス<ディアドラ・ボーベアドラ>
1958年、アメリカ生まれ。『大逆転』(83)で英国アカデミー賞を受賞し、『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(88)でゴールデン・グローブ賞と英国アカデミー賞、『トゥルーライズ』(94)でゴールデン・グローブ賞、『フォーチュン・クッキー』(03)でゴールデン・グローブ賞にノミネートされる。
また、大ヒットシリーズ『ハロウィン』(78・98・02・18)のローリー・ストロード役で世界中にその名を知られ、シリーズ4作目と5作目(21・22)では製作総指揮も務める。その他の出演作は、『ブルースチール』(90)、『マイ・ガール』(91)、『マイ・ガール2』(94)、『テイラー・オブ・パナマ』(01)、『クランク家のちょっと素敵なクリスマス』(04)、『ビバリーヒルズ・チワワ』(08)、『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(19)など。
ステファニー・スー<ジョイ・ワン/ジョブ・トゥパキ>
1990年生まれ。TVシリーズ「マーベラス・ミセス・メイゼル」のシーズン4(19~22)に出演し、全米映画俳優組合賞アンサンブル演技賞を受賞する。
その他の主な出演作は、TVシリーズ「THE PATH/ザ・パス」(16~18)、「アンブレイカブル・キミー・シュミット」(16)、『セットアップ:ウソつきは恋のはじまり』(18)、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)など。
ブロードウェイのミュージカルでも活躍、「BE MORE CHILL(原題)」で、ルシール・ローテル賞とドラマ・デスク・アワードにノミネートされる。また、「スポンジ・ボブ」のミュージカル版にも出演している。
ジェームズ・ホン<ゴンゴン>
1929年、アメリカ生まれ。個性派俳優として、ジョン・カーペンター、エドワード・ドミトリク、サミュエル・フラー、ジェニファー・ユー・ネルソン、リドリー・スコット、ロマン・ポランスキー、ウィリアム・ウェルナンなど、映画界の最も名高い監督たちにキャスティングされ、現時点で500以上の作品に出演している。
代表作は、『チャイナタウン』(74)、『ブレードランナー』(82)、『ゴーストハンターズ』(86)、『ブラック・ウィドー』(87)、『ムーラン』(98)など。アニメ映画『カンフー・パンダ』シリーズ(07・11・16)のピン役で、アニー賞3部門にノミネートされる。
ハリー・シャム・JR<チャド>
1982年、コスタリカ生まれ。人気TVシリーズ「GLEE」(09~15)のマイク・チャン役で広く知られる。
主な出演作は、『ステップ・アップ2:ザ・ストリート』(08)、『リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン』(14)、『大人の女子会・ナイトアウト』(14)、TVシリーズ「シャドウハンター: THE MORTAL INSTRUMENTS」(16~19)、『ソード・オブ・デスティニー』(16)、『クレイジー・リッチ!』(18)、『大脱出3』(19)、『BURN/バーン』(19)、『オール・マイ・ライフ』(20)、『ラブ・ハード』(21)など。
※引用元:公式HPより
感想
人生のもしもは全て存在していてどこかにいるあなたが体験している。そんなもしもの世界とマルチバースをうまく掛け合わせてちゃんと繋がっているストーリーに仕上げて来ているのはシンプルにすごい!内容はかなりカオスなんだけど理解に苦しむようなところはないし、見ていて笑えるシーンや他作品のオマージュなんかも出てきて私は好きだなぁ( ^ω^ )
素直になれない母と娘
アメリカに移り住み自宅の1階でコインランドリーを経営するエブリン。彼女が現在に至るまでにはさまざまな分岐があったが夫・ウェイモンドとの結婚を選び娘・ジョイを出産し、父を介護する人生。
ランドリーの経営は厳しく夫とのまともな会話もない。娘は彼女を作り“良い子”とは少し離れた育ち方をした。
そんな家庭と仕事のゴタゴタに追われる日々の中、夫・ウェイモンドに別世界のウェイモンドが宿ることで人生に変化が生じ、このマルチバースの世界を救うことになってしまうという物語。
エブリンはかなり追い込まれている状態から作品がスタート。父親からは失望されないように本来の自分を隠し、娘は男性と付き合わずに女性と付き合う。そういった価値観を受け入れることができずに常に頭の中がぐるぐると回っているような感じ。
娘を出産したのはアメリカなのでエブリンとジョイが親子だったとしても生まれ育ってきた環境や文化の違いで合わない部分が多いわけです。アジア系の血が流れているけど生粋のアメリカ人なんですよね。
そんなジョイの彼女・ベッキーを父に紹介するときも「良い友達」といって本当のことは言わずに濁す。そういったところもジョイとしては母を好きになれない一因になっていたわけです。
しかもマルチバースを行き来できるようになった世界線ではエブリンがジョイを怪物へと変貌させてしまうんです。 そういった負の感情が原因でマルチバースの世界を巻き込んでの騒動に発展してしまったというね。
この作品は作中で3フェーズに分かれていて、フェーズ1ではエブリンの現在の“地に落ちた生活”とマルチバースの存在を知るシーン。フェーズ2はマルチバースを行き来して別世界の自分が持っている能力を「現実」で使うというシーン。フェーズ3では現実と「もしも」の世界を同時に体験?実現?するシーンと分かれています。
作品がフェーズわけされているとかは予告とかでは書かれていませんがちゃんと書いてくれているのですぐにそうだとわかります。
正直このフェーズの繋がりとか構成は面白いなって思いましたね!尺はフェーズごとにバラバラではありますがある程度の説明もくれるし伏線もちゃんと回収されるし。
で結局いろんな世界の自分を体験したジョイはエブリンと争いたいわけじゃなかったわけです。ベッキーとのこととかをきちんと正面から向き合って話をしたかっただけ。結果的に殺してしまったんだけどエブリン自身の選択でいろんな世界のエブリンを殺して回ったって感じだと思います。
エブリンもジョイと同じような境遇ではあるわけです。父親に反対されたけどウェイモンドと結婚してアメリカへ渡ってって。だけど人生はこんな感じになっちゃってってね。
でもそれを立て直せないわけじゃない。ちゃんと夫と父と娘と話す時間を作り改善して共に歩もうとするよう努力をすれば良い方へと持っていける。終わりがよければ今までの失敗なんかも悪くはないものです。
この監督はやっぱりぶっ飛んでるなぁ( ´∀`)w
やっぱりとんでもない作品になってましたねw 代表作『スイス・アーミーマン』の時もそうでしたが強烈な「表現」やら「もの」やらが飛び交っておりました。
だけどマルチバースの設定と能力発生の条件とかをうまく掛け合わせることができていたのがやっぱすごい!こんな発想できるのはあんなトンデモ作品を作ることができる人だけです!
アベンジャーズシリーズのマルチバースって「並行世界へ自分が行く」って設定でしたが今回は「現実の自分に別世界の能力を憑依させる」って感じの設定なわけです。 どっちかというと「多重人格」とかに近いかなって印象です。
例えばどこかの世界でカンフーを極めた自分になれたり、歌手になったり、鉄板料理の店でコックをやっていたりなど。
このあたりまでかと思ったらその能力を手にいれる(バースジャンプ)の条件がもうとんでもないww 簡単にいうと「ヤバい事をする」=「必要な世界線へ飛べる」というね。
エブリンがこの説明を別世界のウェイモンドから聞いた時はどんなことするんだよみたいな感じでしたがこれが予想以上にぶっ飛んでいる!
ウェイモンドがお手本でやったのがリップクリームを食べる、紙で指の間を4回切るといった内容。そんなことしないとジャンプできないんですか!?ちょっと体張りすぎでしょww
この設定を考えついた時何からヒントを得たんだろうって不思議に思っちゃいました。まぁ奇想天外な作品を作る人の脳内は計り知れないということですね。
別世界から来た刺客にやられたウェイモンドに変わってエブリンも戦おうとしますが1発目が戦っている相手に「愛してる」って愛を誓うように言われます。そんなの無理じゃね?ただ愛してるって言うだけじゃちゃんとしたジャンプができなくて何回も殴ったりされちゃいます。
そのちゃんとジャンプできなかった世界線も面白い!!指がソーセージになって使い物にならない世界に飛んじゃいますw 指を使えないからピアノを足で弾いたりしないといけない。きっかけは普通の指をしている猿人がソーセージ指の猿人に負けっちゃって進化したからっていう。
他にも噛んでテーブルの裏にくっつけられたガム食べたり、戦い中にお漏らししたり、コピー機で自分のお尻を印刷しているやるまでいましたw
いろいろと映せないようなところもあったけどちゃんとモザイクかけられていてしっかりとは見えなくなっている。想像はできちゃうんですけどねww めちゃくちゃ好きにやってんね( ^∀^)
こんなカオスな展開が続々と登場するんだけど、実はこんな作風が好物な私は見ていて楽しかった。私とダニエルズはいろいろと合うかもしれませんw
ただそんな表現やシーンやものがあんまり好きじゃない人はちょっとキツいかもですね。道具に関してはモザイク入らないので大きなディ◯ドーとか見たくない方は目を瞑りながら見ましょう( ゚д゚)イヤススメルノカヨ
最後に
いやぁ、シンプルに満足!ラストシーンはちょっと繰り返しなところがあるんですがそんなの気になんないかな。人によっては諄い感じちゃうかもしれませんが私は大丈夫でした。
作中には他作品の設定なんかも出て来ました。それを見るのもこの作品の楽しいところだと思います。
全体を見れば『コインランドリーのオーナーが確定申告に行く』ストーリーなんだけどそれがこんなに化けるなんてね!物語の流れとかは『スイス・アーミーマン』の構成との似ていたかなって感じます。
最後のフェーズ3『All at Once』(和訳:いっぺんに)では夫、父、娘との関係を修復した現実を手に入れたエブリンになります。しまいに確定申告もOKをもらうことができるわけです。
あらゆる世界線を経験し自身に足りなかったものがなんなのか、選択肢をどう選ぶのが最善なのかを改めて振り返って得られたのかなと思います。
これってかなり私たちにも当てはまるんですよね。私なんかは特に「明日やろう」系は悪い状態になっちゃうなって感じます。実際にそれでヤバい方向に進んじゃったりもしましたしねww
そんな自身の人生を少し足を止めて振り返れる作品だったんじゃないでしょうかね。実際の行動じゃなくても頭で想像した自分はどこかにいる。前に戻ってその道に修正することはできないから今をどう変えるのかを考える…みたいな。
内容は盛りだくさんになっていますがちゃんとしたとこに落ち着く作品でした!!アカデミー賞とってほしいなぁ!!
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノ
評価 ☆☆☆☆☆5/5