映画俳優たちが目指す夢の舞台「ハリウッド」。今作はハリウッドで俳優として成功したいとかすごい作品を作りたいという人の姿を描いているんですが、年代がかなり荒れております。
歴史でも見たことあるかもしれませんが「狂騒の20年代」と呼ばれていた1920年のアメリカを舞台としており、“第一次世界大戦終了後”から“世界恐慌前”といったドタバタした時代なんです。
戦争が終わって国、町を立て直し景気を回復させようとすごい速さで経済を循環させており成長具合もギューんっといった感じで急激に上がっていました。
この年代は映画史の変化が詰まっている年でもあり、今のようなセリフや効果音などの“音”が全くない「サイレント映画」=「映画」だったわけです。日本でも活弁士なんかがいて上映されている映画の解説なんかをしていたわけですね。
それが1920年代後半になると音付きの映画、いわゆる「トーキーフィルム」が登場してくるわけです。ここから映画に音が入って表現なんかがガラッと変わり俳優の腕がパントマイムから発声+演技に変わったわけです。
そんな業界がどのように上がって世界恐慌の荒波に巻き込まれてしまったのか。最終的にはどの年代までを描いているんでしょうかね?!上映時間180分ありますからねぇ。
さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و
作品情報
第一次世界大戦が明けた1920年代「狂騒の20年」を舞台に夢を追い求める主人公たちの物語。映画界も新時代へと突入する分岐点となっており、当時のハリウッド黄金時代を描く。
サイレント映画だけだったのが音声の入ったトーキーが登場し、映画界の革命・激動の時代へと足を踏み入れていくのを俳優陣が熱演!
監督は『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼルが務め、ゴールデン・グローブ賞で作品賞・演技賞をほぼ独占するなど5部門にノミネート。今年度のアカデミー賞の有力株として注目されています(゚∀゚)
有名作品の監督が描く“ハリウッド”の姿と主役たちが思い描く夢はどのような結末を迎えるのか?!映画界の行く末とは…
あらすじ
1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。サイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)は毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。
会場では大スターを夢見る、新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)と、映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)が、運命的な出会いを果たし、心を通わせる。
恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。
しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。
果たして3人の夢が迎える結末は…?
監督情報
監督を務めるのはデイミアン・チャゼル。
2009年にミュージカル映画『Guy and Madeline on a Park Bench』で監督・脚本家としてデビューを飾り、2014年のドラマ映画『セッション』で注目を集めました。
2016年にはライアン・ゴズリング、エマ・ストーン出演のミュージカル・ロマンティック映画『ラ・ラ・ランド』では第89回アカデミー賞で史上最多の13部門14ノミネートを記録し内6部門を受賞した。作品だけでなくチャゼル自身も史上最年少で監督賞を受賞し他にもゴールデン・グローブ賞などの映画賞を多く受賞しているやり手です!
直近の作品だと2018年に公開された『ファーストマン』は人類初の月面着陸を成功させたニール・アームストロングを題材に描かれた作品で、第91回アカデミー賞にて音響編集、録音、美術、視覚効果の4つにノミネートし視覚効果を受賞。
現在38歳と名監督の中でもかなり若いですがこれだけ多くの賞を受賞する大作を出していますから実力は言わずもがな(´ω`) ただ良いものを出し続けているからこそ次回作の期待とプレッシャーはかなりのものでしょう。
本作の中身は割とショッキングな面が多い作品になっているんですよね。そもそもハリウッドに描くイメージって煌びやかで夢に溢れているものを思いますがドラッグなんかが横行していたり、ギャングみたいな“裏”の人間が関わっていたり差別があったりと過酷な現実に“普通”が分からなくなってしまうんですよ。
そんな「人間臭さ」をふんだんに使ってある+セックスやら薬やらで年齢制限がかかっているんですよね。私はこれくらいの人間味と貪欲さが全面に出ている方が好きなので楽しみです!!
キャラクター<俳優名>
ジャック・コンラッド<ブラッド・ピット>
サイレント映画の頂点に立つ超一流の映画スター。昼は大作映画の主役を務め、夜は連日豪華なパーティーに現れ、人々の注目を浴びる。映画を誰よりも愛し、役者業に誇りを持っている。新しく登場したトーキー映画に可能性を感じるが―
マーゴット・ロビー<ネリー・ラロイ>
怖いもの知らずな新進気鋭の女優。呼ばれていないパーティーに乱入し、注目を集め、ハリウッドデビューの切符をゲットするその後才能に溢れた演技で大ブレイクを果たし、一躍スターとなる。
ディエゴ・カルバ<マニー・トレス>
映画製作を夢見るメキシコ出身の青年。大スターであるジャックの助手となりハリウッドでの出世の糸口を掴む。パーティーで出会ったネリーと、夢を語り合い、恋心を抱くが―
ジーン・スマート<エリノア・セント・ジョン>
ハリウッドのゴシップ・コラムニストあらゆるパーティーに出没し様々なゴシップネタを拾う。映画界のスター誕生も、その破滅も、彼女の筆にかかっている。
ジョヴァン・アデポ<シドニー・パルマー>
映画関係者のパーティーでトランペットを演奏していたジャズミュージシャン。サイレント映画がトーキー映画に移行すると、演奏の才能を見出され、映画界は彼を演奏者から映画の“主役”の座に押し上げるが―。
リー・ジュン・リー<レディ・フェイ・ジュー>
日中はチャイナタウンのランドリーを手伝いながらサイレント映画の字幕を書き夜はパーティーで妖艶に歌う。業界で生き残るために日々さまざまな“役割”を演じる。
トビー・マグワイア<ジェームズ・マッケイ>
ハリウッド裏社会を牛耳る大物。危険な秘密パーティーを開催していて、映画制作にも興味を持つ。
※引用元:公式HPより
感想
ハリウッド黄金世代の綺麗な部分と人間の汚い部分とをすごくパワフルに描いた3時間越えの大作!考えたらおかしい世界だけど夢と輝かしい未来が手に入る世界があり、皆が夢をみる。10数年をすごいスピードで描くんでかなり疲れちゃうけど見応えアリです!!( ^ω^ )
長尺だけど落ち着くとこが全然ない(・Д・)
サイレント映画で有名になった俳優、有名になりたいと夢見る女優、今後も残っていく何かの一部になりたい・映画制作の仕事をしたい青年。それぞれが夢を叶えるためにハリウッドの黄金期へ足を踏み入れ急激な速さで変化していく世界にのまれていく。
かなりストーリーが激しくアップダウンするのを管楽器の厚い音で感情を乗せ、喜怒哀楽といったさまざまな主人公たちの顔を見れる監督の集大成となっていました。
この作品を作って公開しようとするのってかなり勇気がいることでもあるのかもしれんしですよね。 だって煌びやかなイメージを持たれているハリウッドの闇部分まで描いているわけですからハリウッドに対しても下剋上みたいなものですよww
年月が経っているとはいっても大麻とかコカインなどのドラッグをみんなやっていて撮影ではエキストラが死んでしまうなんてこともあり、毎晩のようにパーティーが開催される。
そのパーティーも飲んで食って踊ってだけでなくセックスやら暴力やらといったアダルトなものまでが会場で行われているという目も当てられないような状態だったりするわけですねw
だけどこんなメチャクチャなことをやっている世界が民衆たちにとっては劇場で夢を見せてくれる場所なわけですよ。フィルムに残った作品は何度でも夢を見せてくれるし、出演した俳優は現世で死んでも未来へ残り続ける。こんなに素晴らしいことはない!
ただサイレントからトーキーに変わったことは全てが良かったわけではなかったんですよね。序盤でも書きましたが俳優に求めれる資質が変わってしまったわけです。
サイレント映画だとパントマイムといった動きが重要視されていたわけです。皆さんが知っているところだとチャップリンなんかはサイレント映画時代に名声を博したわけです。映画に音がないわけですから動きで感情なんかを表現しないといけなかったんですよね。
それがトーキーの登場でガラッと変わってしまいました。アメリカでは1920年代前半から徐々に上映され始め1920年後半に本格的に商業化が進んできましたが、今ままでの動きにセリフが加わってきて俳優は自身の“声”やセリフの“言い方”が映画の出来に直結するようになったんですよね。
作中でもトーキー映画をマニーが鑑賞する姿が出てきてこの時見ていたのが世界で初めての長編トーキー映画である『ジャズ・シンガー』(ワーナー・ブラザーズ製作)だったわけです。ちゃんと時代の切り替わりをピックアップしているわけです。そのあたりも考えて構成されているんですね。
しかも作品は1920~1930年代の10数年を描いているのでそれを3時間で上映するのはかなりの力技。劇場で見る作品で3時間の上映時間って正直怖いんですよね(;ω;)つまらなければ苦痛でしかないし、いらないと感じてしまうシーンがあるともっと短くしろよって思っちゃうんでね。
だけど今から100年前のハリウッドはこんなにもエネルギッシュで休めるようなところはなかったですw 音楽は中毒性高いし、映画好きとしては興奮してしまってましたし「映画」というもののパワーを改めて見直すことができましたね。この偉大な娯楽は続いて欲しいです。
あの時代だからこそハマるキャスト
今回のキャストはかなり好きです。どの俳優もキャラクターにハマっていて違和感ないし、その中でもマーゴット・ロビーは大ハマりだったのではないでしょうか?!
マーゴットは『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クインを演じていることで知っている人も多いでしょう。私はそのイメージが強いのでドラッグやったりとか踊り狂ったりとかするのはあっているかなって。
ブラッド・ピットも現実で超一流スターとして活躍しているし、役のジャックも有名俳優。年齢的にも次の世代にバトンを渡すような年齢なわけですがその部分の合わせてマッチしていますよね。
似た境遇の役を演じているのでブラピ自身はジャックみたいな苦悩を持ったりしていたのかなって見ていて思ったりしましたね。
ジャックの悩みも正直捉え方次第なんですよね。最後あたりはかなり悲しい現実を突きつけられてしまい、悩み、苦しみ、別れを告げる。もう引退して隠居生活とかでも良かったんじゃないかと思いますがプロだからこそ認めたくないってのもあるんでしょう。
やっぱ時代の成長がゆっくりじゃなく速すぎたんですよね。ネリーもサイレントでチャンスを掴んで一躍有名になったけどトーキーで挫折して賭け事やドラッグに縋ってしまう。
トーキーの現場もサイレントの時と違ってめちゃくちゃ神経すり減らしちゃうんですよ。俳優の声を撮らないといけないから周りは静かにしないとダメ。だからスタジオに冷房的なものを取り付けて動かすのもだめ。
セリフが言えて映画が完成してもサイレントで成功してきたから発声についての勉強をしていないから声をバカにされ、英語の発音や言い方なんかでもバカにされるから俳優は悪戦苦闘しちゃいます。そりゃそうだよね。急にそんなに求められても…。
結局時代の波に耐えられなくなってさようなら( ゚д゚) エリノアがジャックに現実的な話をしますがまぁ皮肉たっぷりではありますが芯はちゃんと捉えているしそうだよねって思っちゃう。だけどそれで納得する人ばかりじゃないのも事実。
捉え方次第っちゃそうなんですが難しいですよね。
最後に
ラストシーンはかなり衝撃的でしたね。映画の歴史をギューーーって凝縮してマニーの今までと一緒に流されていました。いろんな作品のシーンが使われていましたよね。技術が進化してCGなんかの現実では表現できなかったことをできるようになってさらに幅が広がる。
時代によっての衰退の危機が訪れたりしてきましたが作品は私たちのもとに届けられそのために作られ循環する。その中には製作側の苦悩がありそれを乗り越えた歴史があり…。
映画界の歴史的出来事というか世界のどの分野にとっても“変化”がやっていたのがコロナウイルスですよね。これもまた一つの分岐点なわけでこれからの新しい時代を作る一つの要因。
そして音楽が個人的には良かったです!すごく盛り上がるテンポいい曲ばかりで足が自然とリズムを刻んじゃったりしてね。やっぱこの辺りは力入れているなって感じます。作品自体は『ラ・ラ・ランド』みたいなミュージカル作品ではないけど時代の起伏を表現するものや俳優たちの乱痴気騒ぎをより盛り上げる一因としてもね。
音楽で思い出しましたがシドニーのシーンが後半になると全然出てこなくなっちゃったんですよね。ジャック、ネリー、マニーに起こることが多すぎて入れらなかったとかなのかな。
やっぱり期待した通りいい作品ではあったんですがアカデミー賞とかはどうなんですかねw ハリウッド側としては認めたくない過去ではあるんじゃないでしょうかね。 歴史作品としては賞にノミネートまではしてもいいと思うけどそれを許すかですね( ´∀`)
ってなわけでまた次回 ´ω`)ノ
評価 ☆☆☆☆★4/5