ゴーヤの気ままに映画

見たい作品がある時に書いているので定期更新ではありませんが大体月に2,3本は新作鑑賞して投稿しています!文章は苦手なので下手なのはご容赦ください。評価は甘口カレーくらいの甘さ( ^ω^ )

映画『カラーパープル』あらすじ・感想・ちょっとネタバレ

 

 昔の大ヒット作を現代の技術でリメイクしてもう一度楽しむことができるのも映画のいいところの一つですよね。自分自身が生まれる前の作品なら知るきっかけにもなるし、当時映画館に足を運んだ人ならあの頃を思い出しながら時代の流れを感じたり…。

 

 そんな“リメイク作品”ですが気をつけるべき点が1つ。それは「当時の作品があまりにも凄すぎてリメイクで越えられなかった」場合。普通に考えれば公開当時の監督はおじいちゃんおばあちゃんになっていわゆる「巨匠」の位置にいてもおかしくないわけです。

 周りからの重圧もすごいでしょうし、向上している技術を持ってしても到達できないとなると過去作の偉大さがより引き立ってしまう。

 

 と、この話をしたのがなんでかというと今回鑑賞する『カラーパープル』がスティーブン・スピルバーグの手で映画化されたからなんです! しかも公開された1985年付近で彼が公開しているのが『E.T.』(82)や『インディ・ジョーンズ』シリーズ(84,89)なので頭角を表し始めたくらいじゃないでしょうかね!?

 でも残念ながらアカデミーノミネート止まりで受賞はならず。それにもかかわらず上映期間は5ヶ月を越え公開6周目に全米1位になりました。

 

 今作の監督ブリッツ・バザウーレは世界で創価は分かりませんが日本での実績はなしで調べた限りではガーナとアメリカの合作『コジョーの埋葬』(18)とビヨンセが監督を務めた『ブラック・イズ・キング』(20,Disney+配信)くらい。

 第81回ゴールデングローブ賞の主演&助演女優賞にWノミネートされましたがこれが過去を引きずっているのか、監督の実力なのかが気になるところ。

 

 そんな“伝説の過去作”は現代の力でそう生まれ変わったのでしょうか!?

 

 さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و

 

 

作品情報

 1982年刊行のアリス・ウォーカーが書いた小説で映画化だけでなく舞台化もされている。原作は「報道・文学・作曲」などの功績に対して送られる“ピューリッツァー賞を受賞。日本語版は集英社から刊行された。

 

 母を亡くし父の言うことに従い続けてきた黒人姉妹はお互いを支えに自由のない生活を送っていた。ある日姉は妹と生き別れとなったがある人物との出会いをきっかけに自身の未来を変えるために家を出ることを決意するーー

 

 女性差別や人身売買が横行していた時代を生きる女性が自身の自由を掴み取るまでの道のりを描く作品になっています。

 

 主役のセリーを演じるのはミュージカルでも同人物を演じたファンテイジア・バリーノが担当。ミュージカルで何度もセリーを演じてきた彼女ですからかなり上手く演じそうな気がします。

 彼女にきっかけを与える人物である歌手のシュグを『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)や『ベスト・キッド』(10)に出演したタラジ・P・ヘンソンが演じ、男性相手に物怖じしない性格のソフィアをさまざまなドラマ・映画に出演しているダニエル・ブルックスが担当します。

 

 他にセリーの妹・ネティ役を『リトル・マーメイド』(23)でアリエルを演じたハリー・ベイリーや『キャンディマン』(21)、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(23)のコールマン・ドミンゴガブリエラ・ウィルソンなどが出演する。

 

 過酷な時代を生きる女性たちが希望を捨てずに耐えて歩み続ける姿を現代版にどうリメイクしてくるのかが気になります。

カラーパープル(字幕版)

カラーパープル(字幕版)

  • ダニー・グローバー
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あらすじ

 優しい母を亡くし横暴な父の言いなりとなったセリーは、父の決めた相手と結婚し、自由のない生活を送っていた。

 さらに、唯一の心の支えだった最愛の妹ネティとも生き別れてしまう。そんな中、セリーは自立した強い女性ソフィアと、歌手になる夢を叶えたシュグと出会う。

 

 彼女たちの生き方に心を動かされたセリーは、少しずつ自分を愛し未来を変えていこうとする。

 

 そして遂に、セリーは家を出る決意をし、運命が大きく動き出す──。

 

※引用元:公式HPより


www.youtube.com

 

 

感想

かなり過酷な人生を歩んできたセリーだが思っていたよりも悲惨な感じを減らして少し見やすく描かれているように感じる。ミュージカルシーンはどれもよかったがストーリー部分が少し落ちるかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満たされない満足感

 1909年のジョージア州からはじまり、姉妹がお互いを支えに必死に生きてきたが父や男性、社会に押し潰されそうになる中自立し自由を手に入れるまでのお話。「女は男の言うことを聞くものだ!」という男尊女卑がオーソドックスだった時代に弱い立場になってしまっていた女性たちはどう生きてきてたのか!?を主人公のセリー視点で語られていきます。

 

 今作の舞台となった1900年代より少し前に当時の大統領であったリンカーンが“奴隷解放宣言”をし300万人以上の黒人が奴隷身分から解放されました。

 彼らは今まで白人から迫害を受けてきていましたがそれが無くなり自身が暮らしやすい街などを形成。その中で生活を送っていたわけですが、今度は黒人社会内で男女間の差が生まれ、男性が女性の敵となっていったんですね。

 

 冒頭、姉・セリーのお腹が大きくなっており妊娠しているよう。妹・ネティと会話している途中で産気づいて男の子を無事に出産します。 そこに父親が登場し「子供は俺のものだ!」と彼女から子供を取り上げてしまいます。

 

 ここで表現が削られていましたがセリーが産んだ子供の父親は彼女の父なわけですし、しかもそれが初産ではなく娘も出産していたのが追々判明します。この事実をフワッと描いてしまったのは残念かな。

 確かにやってることがかなり残酷なので隠したい気持ちがわからなくはないですが、父が娘を犯していた事実と生まれた子を売りに出しているというのはしっかり伝えるべきところではないでしょうか?

 

 そんな出来事が起きたのも束の間、セリーたちの父と顔馴染みの農夫・ミスターが妹のネティを嫁に欲しいと提案します。父親は「あの子は頭がいいから学校の先生にする」といい提案を拒否。「代わりに姉のセリーはどうだ?お前も3人の子供を1人で育てるのは大変だろう?」と持ちかけミスターはOKします。

 

 こうしてミスターの元に嫁ぐこととなったセリーはネティと離れ離れになってしまうことに。このミスターもとんだ最低男で子供の面倒は見ない、何か気に食わないことがあれば暴力を振るう、「女は男の言うことを聞くものだ!」と見下す、あげく歌手のシュグと結婚したかったと言いセリーを愛している様子もない。

 まぁもともと妹のネティに惚れてて、セリーと結婚したのも自分の子供たちの世話をさせたり自身の性の吐口にするしていたにすぎないんですよ。なんちゅうヤツだ!!( *`ω´)

 

 ここまででセリーが大変なのがわかるんですが冒頭の娘に子を産ませてた父に動きが…。セリーがいなくなったことでネティに手を出そうとするんです!

 父親に体を触られたことが原因で家を飛び出しセリーの元へ逃げてきました。ミスターをなんとか説得しまた姉妹仲良く暮らせるかと…。

 

 ですがミスターってセリーよりネティに気が合ったので夜這いしようと部屋へ入ってきます。ネティを襲いますがおキャンタマを蹴られ激怒しネティを雨が降る中追い出してしまいます!

 ただ出て行けというだけならまだしも銃で威嚇射撃までし、セリーに「妹が戻ってきたら2人とも殺してやる」と釘を刺します。

 

 この追い出すシーンまでの間が結構短い。姉妹がまた再会できたというのに生活のダイジェストなんかも全然ないため、かなり短期間であっけなく感じるし感動も薄い。ただただミスターのクソさが際立ってましたww

 その後ネティがマジで登場しなくなってしまって最後に再開した時に感動しなかったんですよね(゚ω゚) 彼女がミスターの家を離れてからそのように生活していたかは手紙で回送されるんですが時間が20年とか30年とか経っているのに年単位で短めの説明しかないからそれも悪手かなと。こう見るとかなり裏目ってますね…。

 

 こういう細かい部分が重なって全体的な満足度が下がってしまっているんじゃないでしょうか?セリーの幸福な時間が少ないので不幸なところばかり目立って気持ちの上下がなく下がりっぱなしになってしまうのはだめかなと。

 

 

救世主との出会いから変化まではわりとゆっくり

 セリーがミスターの呪縛から抜け出すまでかなり紆余曲折を経てきているんですが、きっかけになったのは気の強いソフィアとブルース歌手のシュグ。

 

 ソフィアはミスターの息子であるハーポの結婚相手として登場。酒場で遊んでいるミスターの前に現れ挨拶しますがミスターのあの性格に対し一切折れずに「やれるもんならやってみろ!」と言わんばかりの反骨精神全開!

 ハーポはソフィアを好きなんだけどセリーを掌握しているミスターの姿を見て育っているため、ソフィアも同じように自分の言うことを聞かせようと考えていました。

 

 まぁあのタイプの女性をなんとかしようとしてもそうはいかないですよね。ハーポはミスターに相談したりしますが結局子供が生まれてからも尻に敷かれることになっちゃって、それを見たセリーは彼女ってすごい強いなって感心。

 ミスターに反抗できないセリーをずっと見ていたこちらもソフィアの対抗姿勢を見て爽快感を得られますし、セリーにも何かしらの変化があるんじゃないかと期待を持ってしまう。

 

 ただセリーは前に進むことができず日々を過ごすことしかできませんが、ハーポが酒場を開くことをきっかけに2回目のターニングポイントである「シュグとの出会い」が。

 

 自身の歌で多くの人を魅了し男は彼女に尽くそうとあれこれして接触しようとしてくる。彼女自身はそれを頼りにするわけではなく自分をしっかりと持っているから彼女たちと出会うことで徐々に変化が出始めます。

 が、セリーは優しすぎるがあまりどう反抗していいのかがわからずシュグにひっついてばかりになってしまいます。ミスターもセリーばかり気にされているのがむかついてしまうんですよ。

 

 シュグが滞在していた間ミスターは彼女にデレデレなのでセリーに何もしないんですが一時的に離れるとまたあの日々に逆戻り。シュグが戻ってきてからセリーの気持ちにも変化が出てくるんですが、ここでやっとネティからの手紙が登場。

 ネティの手紙はミスターが没収していてセリーはその存在すら知らない状態なんですが、シュグが発見しセリーに教えてあげます。

 

 ここに辿り着くまでも結構長い。結局今までに届いていた手紙も発見されるんですが、これなんで残していたのかが気になる。ミスターのあの性格なら届いたらすぐ捨てるんじゃないかって思っちゃうんですけどみなさんどう思います!?

 

 手紙を見てネティが生きていることがわかってから今まで溜め込んできたありとあらゆるものが溢れ出てきます。 シュグが結婚相手と戻ってきたタイミングでミスターにバーーーっと吐き出してそのまま家を出ていっちゃうんです。

 年月でいうと何年も経っていますし、ストーリーの展開もそんなさっさと進められないから個人的には「やっと出ていく気になったか」ってのが一番。

 

 

最後に

 ミュージカルの要素が多いのでその分ストーリーをカットしちゃってるんじゃないでしょうかね。ミュージカルはその時の心情などがダイレクトに伝わってくるいいものなんですが量があるからメインストーリーが説明不足になっているんじゃないかなと。

 

 スピルバーグが製作した過去のものと上映時間がさほど変わらないのにやっぱり差が出てしまいましたね…。セリー自身の辿ってきた人生の凄まじさがもっと証言できたんじゃない?(´ε` )

 やっぱ過去に実写映画化された大作をリメイクするのが怖いってのを体現した作品でしたね。これからもスピルバーグみたいな巨匠の現代リメイクが出てくると思いますが超えるくらいの超えるものが見たいですね。

 

 やっぱ神は何もかも見ているんですね。悪いことをすればそれが自分に返ってくるし、優しくすればいいことで返ってくる。セリーはソフィアが捕まった時に毎週欠かさず面会していたくらいの優しさを持っていたので、最後はネティと再会して一緒に食卓を囲むことができたんでうよね。

 

 私たちも優しさを誰にでも与えることのできる人間になりたいものですね。ネット社会は良くも悪くも人間が冷たいですから(´ω`)

 

 あとは今回の監督が経験値そこまで高そうじゃなかったのでそこも問題点じゃないかな。監督決める時は結構慎重にならないとですね。

 

 ってなわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ

 評価 ☆☆☆★★3/5