ゴーヤの気ままに映画

見たい作品がある時に書いているので定期更新ではありませんが大体月に2,3本は新作鑑賞して投稿しています!文章は苦手なので下手なのはご容赦ください。評価は甘口カレーくらいの甘さ( ^ω^ )

映画『BAD LANDS/バッド・ランズ』あらすじ・感想・ちょっとネタバレ 地に落ちてもしぶとく生きる

 

 ネットが普及して便利になってきている現代ですが、人々の暮らしを良くしているだけではない。昔から横行している特殊犯罪もネットワークの進化とともに姿を少しずつ変え残り続けています。

 

 日本でも特殊詐欺はたくさん発生しており昨年データだと医療費や保険料の払い戻しを口実にお金を騙し取るいわゆる「還付金詐欺」が4500件を超え1位。次いで4200件を超える「オレオレ詐欺」の被害が多くしているがこの数字はあくまで“認知件数”なので被害に遭っている人はもっと多いと見られています。

 

 件数では2位ですが被害額でいうと「還付金詐欺」を超えており2022年の総額の35%にあたる129億以上が「オレオレ詐欺」による被害となっています。

 「オレオレ詐欺」の被害は年々減少傾向にありましたがコロナの影響でかここ数年で再上昇。特殊詐欺の被害が再増加を防ぐため警察でも多くの呼びかけがされています。ATMなんかでも還付金詐欺に関する音声が流れますよね。

 

 そんな多くの被害を出している特殊詐欺にスポットをあてたのが今作『BAD LANDS』でございます( ^∀^) 主人公は“被害者”側ではなく“加害者”側でストーリーが進行し社会の裏側を緊張感あふれる展開で描いています。

 

 最近よく見る安藤サクラといろいろ問題のあったジャニーズの山田涼介を中心にたくさんの有名俳優陣が脇を固めます。この2人が踏み入れてしまった危険な地から無事脱出することができるのか!?

 

 さっそくいってみよ〜〜〜٩( ᐛ )و

 

 

作品情報

 ミステリー、警察小説を中心に多くの作品を描き続けてきた小説家・黒川博行。第151回直木賞を受賞した『破門』や『後妻業』などで知られ、人間の深い欲望を特徴的に捉え描く。

 

 今作は2015年に刊行された小説『勁草』を元にしており、特殊詐欺を生業に生きる橋岡煉梨(ネリ)と彼女の弟・ジョーを中心に人間の予測不能なストーリーが展開。思いかけず手にしてしまった「億越えの大金」に迫り来る巨悪から逃れるがどうなってしまうのか!?

 

 主人公の2人は『万引き家族』(18)や『ある男』(22)、『怪物』(23)で目まぐるしく活躍する女優・安藤サクラと『暗殺教室』(15〜)、『鋼の錬金術師』(17〜22)などの実写化したアニメ作品や『燃えよ剣』(21)、『大怪獣のあとしまつ』(22)の山田涼介が出演。

 

 主人公2人の周りはドラマ、映画、舞台、番組MCなど幅広く活躍する生瀬勝久や歌手、俳優、監督として活躍する宇崎竜童、演出や話題となった大河ドラマ『どうする家康』で柴田勝家を演じた吉原光夫などが脇を固める。 他にも江口のりこ天童よしみ大場泰正淵上泰史らも出演する。

 

 今回のクライムサスペンスはどんな予想を超える展開が待っているのか!?詐欺を働く姉弟の行き着く先は“天国”か“地獄”か…

 

 

あらすじ

 <持たざる者>が<持つ者>から生きる糧を掠め取り、生き延びてきたこの地で、特殊詐欺に加担するネリと弟・ジョー。

 2人はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。金を引き出す…ただそれだけだったはずの2人に迫る様々な巨悪。

 

 果たして、ネリとジョーはこの<危険な地>から逃れられるのか。


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キャラクター<俳優名

橋岡煉梨<安藤サクラ

 高城政司に雇われて詐欺を生業にしておりオレオレ詐欺のターゲットを下見したりなどしている。ターゲットが決まったら「受け子」に指示を出し金を騙し取る。

 

矢代穣<山田涼介

 煉梨の弟で高城に雇われて特殊詐欺をおこなっている。煉梨の前では可愛げのある表情を見せるが姉のいないところではその顔が一転し、サイコな表情を見せることも…

 

高城政司<生瀬勝久

 表向きはNPO法人「大阪ふれあい事業推進協議会」の理事長を務めているが、裏では特殊詐欺グループの名簿屋をしており煉梨と穣を雇って詐欺をおこなっている。

 

曼荼羅(上松)<宇崎竜童

 「ふれあい荘」に住んでいる元ヤクザで幼いことから煉梨のことを知っている人物。詐欺の過程で大金を手に入れた煉梨たちの行末の鍵を握っている。

 

佐竹刑事<吉原光夫

 大阪府警で特殊詐欺を捜査する捜査一課の刑事。班長・日野のもとで指揮をとりネリたちを徐々に追い込んでいく。

 

日野班長<江口のりこ

 大阪府警特殊詐欺合同特別捜査の班長で佐竹の上司。捜査班の刑事たちをまとめ上げ特殊詐欺の捜査を進める。

 

林田<サリngROCK

 裏賭場の帳付をしており裏社会の黒い仕事の仲介もこなす謎の多い女。ネリとジョーは彼女と出会いことで運命が狂いだす。

 

新井ママ<天童よしみ

 ネリとともに高城の特殊詐欺に加担している道具屋でヤクザである「亥誠組」とつながっている。

 

教授<大場泰正

 「ふれあい荘」に住んでいる特殊詐欺の受け子。博識でさまざまなことを知っていることから周りからは“教授”の愛称で呼ばれている。

 

胡屋賢人<淵上泰史

 総資産500億$のゴヤ・コーポレーション会長でグローバル・マクロ投資家。ネリが東京にいた時と関係のある人物。

 

 

感想

血縁関係のない姉弟が大金を持つものから奪い取る一作。不運な過去をかかえ大人へと成長した姉と何かしらやらかすけどどこか憎めない弟がある仕事をきっかけに追い込まれていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

念密な犯行計画とそれを追う警察

 今回メインで取り上げられているいわゆる「オレオレ詐欺」の一連の流れを見せる冒頭シーン。タイトルコールまでにオレオレ詐欺を実行するまでの準備と実際にどうやってお金を受け取るのかを加害者側のリスクとそれを追う警察の行動を一緒に映して生々しく描いています。

 

 海外から日本に帰国してきたネリは名簿屋の高城から次のターゲットに指名した高齢女性から現金を受け取るよう指示を受ける。ターゲットに対して危険性を感じていたネリは受け子を数回経験した教授を連れて受取先に指定した現場へと向かう。

 

 高城は車でターゲットの行方を確認しながらネリと掛け子に連絡を送り受け取り先を変更したりし画策。受取場所が決まったところでネリに後を任せ乗っていた車を整備所を運び証拠を隠す。

 ネリは教授と受取人がどんな人物なのかの設定や指でどういう指示を出すのかを入念に確認し、ターゲットへと近づいた。打ち合わせをスムーズに終わらせどのタイミングで教授を接触させようか周りを気にしているとターゲットの周りに警官がいることがわかり教授にハンドサインで中止を伝える。

 

 犯行の流れがかなりスムーズなんだけど微塵もミスをしないように気を張りながら行動しているのがよりリアル。受け子が捕まる=指示役のネリも捕まってしまうためターゲットが騙せる相手なのかも見極めなければならず警戒をし続けなければいけなんわけです。

 

 正直見ているこっちからしたらもっと分業してしまえばいいんじゃないかと思ってしまうんですが人数を抱えた場合のリスクも考えたうえでネリ自身がターゲットの下見や現金を引き出したかを確認しているんですね。

 

 しかも服をコロコロ変えているんですがリバーシブルに着れるものとかを使って手荷物を最小限に抑えているしターゲットの周りに警察が張っているのを現場で瞬時に把握する能力の高さは普通にすごい。

 

 こういった能力があるのっておそらく東京にいた時の経験とか過去の経験とかが関係してきているんでしょう。東京に住んでいる時は秘書業をしていたわけなので周りに目をくばる能力は必須と言っていいほどでしょう。

 その力をこういったかたちで遺憾なく発揮しているから高城のような人間のもとでも生きていけたんでしょうね(゚∀゚)

 

 佐竹刑事もかなり頑張って捜査をしていますがなかなか特殊詐欺グループの尻尾を掴むことができない…。だけど監視カメラとか微かな手がかりを頼りにネリに関する特徴を絞り出しているのはすごいですよね!

 

 教授と金を受け取りに行った現場の映像で耳のこととかを推理するのは普通に切れ者デカですよね。キャラクター的にはルパンの銭形とかに近い感じじゃないでしょうか。強面だけどどこか抜けてて、でも仕事になるとキリッとした顔するんですよねw

 

 序盤にどういった反抗を行なってネリが生きてきたのかを持ってきたのはかなり良かったのではないでしょうかね。もともと特殊詐欺の犯行なんてのはメインではないので最初に見せてしまって主人公の生活基盤を見せてしまって後から徐々に消していくのが一番しっくりくるんじゃないかなって思います。

 後半からはネリとジョーがそれぞれ別々にドラマを繰り広げていくので最初の1/4くらいにキュって入れちゃうのがいいですね!

 

 

血は違うがそれでも姉と弟

 今までさまざまな犯罪に手を伸ばして刑務所に入っていた弟の穣(ジョー)。出所して行くあてがなかったが姉のネリのもとを訪れ、ネリが高城に頼み込んでグループに加わることに。ネリ自身気を許せる家族ってのがいないからジョーの存在ってかなり大きかったと思うんですよね。

 だけどちょっと目を離すと何しでかすかわからないから高城のもとで仕事をしてもらって監視もできるようにするっていうね。

 

 彼自身の過去について回想が流れたりはしないものの高城の前で書いた履歴書や高城を埋めたときに父親を殺したことなんかも話していることからまぁぶっ飛んだ頭してますよね( ´∀`)ハハッ

 性格も計画的なネリとは違い気に入らないことやイラっとしたことに対して頭に血が昇りやすくってすぐキレ散らかすんですよ。見た感じでなんかやりそうだなって思っちゃいますよねww

 

 ほっとけば何ふり構わず暴れ回るんでしょうがネリが止めるとあっさり引き下がるんですよね。ここは弟らしくて可愛らしいところ。ネリもこういう一面を見てしまうからほっとけないんでしょうね!

 

 物語が進み、裏賭場に行くことになったネリとジョーは自身の持ち金で賭けを楽しんでいましたがネリは曼荼羅絡みで先に帰宅。林田が念の為ジョーが借り入れをした時の連帯保証人になることを条件に帰すことを承諾します。

 この時はジョーは勝ちが続いていたしまさか負けて金借りないだろうと思ったネリはそれを快諾。

 

 ここで先に帰ってしまったがために2人の運命が狂い出してしまうとは…。

 

 ジョーは最初は調子が良かったですが徐々に負けが続き最終的に借入までした250万の負債を抱えてしまいます。もともと林田から裏の仕事を紹介してもらう予定でしたが急遽その日に実行することに。

 もう仕組まれていることが丸わかりですよね。イカサマしているかはよくわかりませんが、仕事が前倒しになったタイミングとかが都合良すぎるんですよね( ^∀^)

 

 で、今回のターゲットを殺すために廃墟へ向かったジョーたちは林田が手配した拳銃を発砲。ターゲットの足に命中するも殺すまではできず一緒にいたヤバそうな奴らに反撃されてしまいます。

 そのメンバーにいたのがまさかの岡田准一!腕に刺青を入れたチンピラ役なんですがこれまでそういう役をさんざんやってきているからヤクザの幹部にしか見えないww ナイフ取り出したところなんか銃持ったジョーに絶対勝てる雰囲気を出してて山田涼介も震えるわな(・Д・)コエー

 

 受けた仕事を失敗してしまったからリカバリーしようと考えたのが高城から金を奪うこと。これはただ金が欲しいっていうよりもネリを解放したいなって気持ちもあったんじゃないでしょうかね。

  250万の連帯保証人になったことも林田から後で聞いたことだから姉ちゃんに迷惑かけたくない→楽になるにはどうしたらいい?→高城のもとにいるのはダメだ!みたいな感じじゃないでしょうかね。

 

 この出来事からネリの過去なんかも少しずつ出てきますが思っていたよりもキツめな過去を抱えていて結構ショッキングでしたね。回想で出てきたのは胡屋のもとで使われていたところだけでしたが、売り飛ばされた先で犯されていたとかその父親をジョーと殺したとか大人になって東京で性奴隷みたいに扱われたとかね。

 

 これ映倫のどのランクなんだって思ったらまさかのPG12+!いいんですか!?映像はないにしてもこの内容で12歳をボーダーにしちゃっても!! 逆にシーンがないから12で止められるのかな?

 

 話は戻って一瞬ですがジョーがネリのことを姉ではなく女性として接しようとする場面も出てるんですよ。高城を殺して埋めた後ラブホで着替えようとしたシーンで「姉弟でもやるやつはいるもんな」って言うんですよ。

 姉に対する愛が一瞬ですがラインを超えたところかなと。血縁じゃないってのと高城とジョーどっちを取るかって時にジョーを取ったことに姉弟愛を超えた何かを感じたのかもしれないですね。

 

 その部分は詳しく描かれているわけじゃないので表面的に見たら姉とやろうとしたクズ野郎にしか見えないんですねどねww

 まぁこの作品に出てくる人物のほとんどがクズって言われるような人達なのでその人達なりを表現するためにもあのシーンは必要だったのかもしれませんね。

 

 

最後に

 下に落ちてもしぶとく生きる人間の姿を描いた今作。やっていることは特殊詐欺なので許されることではないけど生きるために憎む人間の元で頭下げて仕事をする。並の人間にできることではないですよね。

 

 過去にやったこととか自分が置かれた立場よりマシだと思うと屁でもないって感じてしまうからこれが人間の怖いところ。作中でも出てきますが「勁草」のようにしぶとく生き続けるなんて言ってますがかなりラインは超えてますけどねww

 

 あと大阪・天王寺あたりに住んでいた経験のある私は懐かしいな+話していることは普通にわかりましたが、普段関西弁とか聞かない人はわからない部分結構ありそうなんですよね…。

 関西圏特有の早口気味の会話だったり訛りでゴモゴモ喋っていたりするから「?」ってなっちゃうところは多そう。慣れている側からしてもちょっとわかりにくく感じたところがあったのでね。

 

 それと天童よしみのシーンが思っていたより少なかったのでいるのかなと思ってしまいました。見るからに特殊犯罪グループの幹部っぽい見た目なのに後半にちょっと出てスッといなくなっちゃいましたからね。

 

 個人的には「予測不能」かと言われたら微量かな?とは思いましたが犯罪の手口は予想外でした。やったことない人間は誰しも予想外でしょうけどねw

 

 でもよくできたストーリーと手口でしたね。最終的にネリは海でパシャパシャできたんでしょうかね。そのあたりもクレジットとして上映されたら嬉しかったです。

 

 と言うわけでまた次回 ´ω`)ノアリャシタ

 評価 ☆☆☆☆★4/5